JR西日本/越美北線(越前花堂-九頭竜湖) 乗車記

2022.5.27


乗車区間  (福井 9:08 →) 越前花堂 → 九頭竜湖 10:42 (723D)
 九頭竜湖 10:56 → 越前花堂 (→ 福井 12:23) (724D)
乗車列車  普通 723D 福井発、九頭竜湖行き
 普通 724D 九頭竜湖発、福井行き
車両  JR西日本キハ120形気動車200番台 / 203(1両/金沢総合車両所敦賀支所福井派出)(723D)
 JR西日本キハ120形気動車200番台 / 203(1両/金沢総合車両所敦賀支所福井派出)(724D)

越美北線・路線図

越美北線について
 越美北線は福井県福井市の越前花堂駅から大野市の九頭竜湖駅を結ぶ 52.5㎞ の地方交通線。元は南福井駅(貨物駅、当時は北陸本線に越前花堂駅が無かった)と岐阜県の美濃太田駅を結ぶ越美線の一部として建設された。岐阜県側は第三セクターに移管され長良川鉄道越美南線となっている。しかし、両県を結ぶ計画は果たせず、越美北線も存亡の岐路に立たされている。
 2022年4月、JR西日本は、2019年度の輸送密度2000人未満の線区について、収支状況と営業係数を公表した。対象となったのは17路線30線区だった。その中に全区間が含まれていて、平均通過人員は 399人となっている。
営業距離  越前花堂-九頭竜湖 52.5㎞ 電化・非電化   全区間非電化
2019年度輸送密度  越前花堂-九頭竜湖 399人 単線・複線   全区間単線

2023.6.13 作成


 大人の休日倶楽部会員限定「北陸フリーきっぷ」を使って北陸旅行に出かけた。フリーきっぷ利用なので、エリア内の JR西日本のローカル線全てに乗車する計画を立てた。乗車するのは、高山本線(富山-猪谷)、七尾線、城端線、氷見線、越美北線と小浜線だ。小浜線の有効区間は小浜までだが、別料金を払って終点の東舞鶴まで乗車する。このうち小浜線と越美北線は、今年二月にJR西日本が公表した「輸送密度2000未満」30線区リストに載っている。
 敦賀市内に宿泊した旅行四日目に、北陸本線に乗車して福井まで移動した。福井から越美北線に乗車して九頭竜湖まで往復した。越美北線の起点は越前花堂だが、「北陸フリーきっぷ」利用なので列車の始発の福井まで行った。敦賀方面から特急など越前花堂に停車しない列車に乗車して福井で越美北線に乗り換える場合、運賃計算の特例により「越前花堂-福井」間の運賃は支払わなくてもいい。しかし、越前花堂に停車する普通電車の場合、この特例は適用されない。

 JR西日本 / 福井駅(福井県福井市) / 9:08 発車

 越美北線乗り場の2番線は3番線の越前花堂方の切り欠き部分にある。ホームに到着したときには列車はまだ到着していなくて、ベンチには2人の乗客が待っていた。九頭竜湖行き 723D は 8:58 頃回送で入線してきた。車両はキハ120形一両で、進行方向左側のボックス席を確保した。キハ120形では最初の区分の 200番台で、普通鋼製の車体が朱色に塗られている。ステンレス車体の 0,300番台と違い、窓が開閉できて車幅が少し狭い。
 車内に乗り込んだのは4人だけだったが、発車時間が近づくとだんだん乗客が増え、最終的には15人くらいになった。観光客らしき人の姿も何人かある。

 北陸本線/越美北線 普通 723D 福井(9:08)発、九頭竜湖(10:42)行き
 
JR西日本キハ120形気動車200番台 / 203(1両/JR西日本/金沢総合車両所敦賀支所福井派出)

 福井を出たキハ120形は北陸本線を南に向かって走り、北陸本線と分かれるとすぐに越前花堂だ。駅は分岐した先にあるので、越美北線と北陸本線のホームは離れている。その先は田園風景の中を進み、左手に建設中の巨大な一乗谷朝倉氏遺跡博物館(仮称)が見えてくる。

 車窓 / 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館 (建設中)(越前東郷→一乗谷)

 間もなく一乗谷に到着する。簡易なホームと小さな待合室だけの小さな無人駅だ。付近には戦国時代に一乗谷城を中心に越前国を支配した戦国大名朝倉氏の遺跡があり、いつかは訪れたいと思っていたが今日は車内から見るだけだ。ここでは観光客らしき人が3人列車を降りた。

 一乗谷駅(福井県福井市) / 9:25~26

 一乗谷からは山間の狭い谷間を列車は進むが、大野盆地であたりは開ける。越前大野は沿線で1番大きな駅で、福井からの列車の半数はここで折り返す。

 美山駅(福井県福井市) / 9:42

 越前薬師駅(福井県福井市) / 9:45~46

 越前大宮駅(福井県福井市) / 9:49~50

 牛ヶ原駅(福井県大野市) / 9:57~58

 越前富田駅(福井県大野市) / 10:13~14

 下唯野駅(福井県大野市) / 10:19

 柿ヶ島駅(福井県大野市) / 10:21~22

 車窓 / 九頭竜川(柿ヶ島→勝原)

 大野盆地を離れ再び山の中に入っていくと、間もなく 1960年に開通した時点での終着駅の勝原だ。付近には何もなさそうだが、観光客らしき2人が列車を降りた。その先長大なトンネルを2つ抜けると終着駅の九頭竜湖だ。終点まで乗り通したのは全部で6人だった。
 九頭竜湖での折り返し時間は14分しか無いので、急いで列車を降りて駅周辺を見て回る。簡易委託の駅で、券売機はないが窓口で B-POS端末により切符類の購入ができる。入場券を購入したが、結構手間取っていたので、特殊な切符の発券は難しいかもしれない。
 駅舎はログハウス風の立派なもので、隣には道の駅九頭竜が並んでいる。道の駅にはファミリーマートが併設されているので、食料などの購入も可能だ。24時間営業ではないので注意が必要だが、越美北線の運行時間には開いている。

 JR西日本 / 九頭竜湖駅(福井県大野市)/ 10:42 到着 (折り返し) 10:56 発車

 723D の折り返しの 724D 福井行きの乗客は6名で、内4人は 723D から折り返した乗客だ。新しく乗車した2人は観光客のようだが、ここまでどうやって来たのだろうか。723D が九頭竜湖行き下りの初発なので、別の交通機関できたか、付近に宿泊したかのどちらかということになる。

 越美北線/北陸本線 普通 724D 九頭竜湖(10:56)発、福井(12:23)行き
 
JR西日本キハ120形気動車200番台 / 203(1両/JR西日本/金沢総合車両所敦賀支所福井派出)

 勝原-九頭竜湖間(10.2km)は 1972年に延伸開業した区間で、土木技術の進歩で長大トンネルの掘削が可能になったため、荒島トンネル、下山トンネルが直線的に山を貫いている。1960年に開通した福井-勝原間とは線形がまるで違っている。また、この区間の7割がトンネルなので、車窓は期待できない。

 車窓 / 九頭竜川(九頭竜湖→越前下山)

 越前下山駅(福井県大野市) / 11:00

 勝原駅(福井県大野市) / 11:06~07

 車窓 / 九頭竜川(勝原→柿ヶ島)

 越前田野駅(福井県大野市) / 11:23~24

 越前大野-九頭竜湖間は全国でも珍しいスタフ閉塞区間で、越前大野では駅員が運転手からスタフを回収していった。スタフ閉塞とはスタフという通行票を持っている列車以外はその閉塞区間(駅間)に入れないようにすることで、列車の運行を管理する方式。閉塞機、電鈴、電話機といった固定設備が必要ないが、スタフがある駅からしか列車が発車できない。また、スタフを管理する駅員を配置する必要がある。スタフ閉塞を採用している JR線は、この区間以外では JR東海の名松線・家城-伊勢奥津間だけだそうだ。これまで乗車した記憶があるのは、今は廃止になった JR北海道の札沼線・石狩月形-新十津川間くらいだ。

 越前大野駅(福井県大野市) / 11:28~30

 福井-越前大野間はそれなりの乗客があるが、昨年秋に減便されたので、鉄道輸送としては厳しい状況にあるようだ。同区間は京福バスの路線バスが走っているが、料金、所要時間ともにバスには不利で、利用する客層が違うのだろう。

 北大野駅(福井県大野市) / 11:32~33

 牛ヶ原駅(福井県大野市) / 11:35~36

 計石駅(福井県福井市) / 11:40

 車窓 / 足羽川(越前薬師→美山)

 美山駅(福井県福井市) / 11:50~51

 小和清水駅(福井県福井市) / 11:55~56

 市波駅(福井県福井市) / 11:59

 越前高田駅(福井県福井市) / 12:01

 越前東郷駅(福井県福井市) / 12:09~10

 足羽駅(福井県福井市) / 12:13

 六条駅(福井県福井市) / 12:15~16

 越前花堂駅(福井県福井市) / 12:19

 沿線の景色も素晴らしく、一乗谷、大野、九頭竜湖といった観光地があるので鉄道としての利用価値はあるのではないかと思うが、単純に利用者の数(利用密度)を見るとバス転換もやむを得ない数値だ。しかし、2004年に起きた福井豪雨の際は3年の期間と40億円(国 10億、県 20億、JR 10億負担)の復旧費を掛けたので、廃止するのはもったいない路線だと思う。

 JR西日本 / 福井駅(福井県福井市) / 12:23 到着

 越美北線は 2022年4月に JR西日本が公表した 2019年度の輸送密度2000人未満の線区、17路線30線区に含まれているので、廃止の危機が高まっている。かつて、特定地方交通線の第2次廃止対象路線にリストアップされたが、「代替輸送道路が積雪で年10日以上通行不可能」の理由で廃止対象から除外された経緯がある。
 その時、沿線自治体が、公共交通に関する協議の場「越美北線と乗合バスに乗る運動を進める会」を設置した。それ以降、沿線(自治体)には廃止の危機感がある。その後、2004年7月の福井豪雨により甚大な被害を受けたが、費用は大きかったが復旧することが出来た。沿線での利用促進活動は行われているが、利用者の減少は続いている。
 現在は、2024年春に予定される北陸新幹線金沢―敦賀間延伸で観光利用への期待がかかっている。2021年3月に「越美北線観光利用促進協議会」が設置されていて、「危機感をすでに共有しながら議論している」最中だ。



 越美北線 普通 723D
 2022.05.27 (平日) ダイヤ
 越美北線 普通 724D
 2022.05.27 (平日) ダイヤ
発     着 発 
福井 9:08 九頭竜湖 10:56
越前花堂 9:12 9:13 越前下山 11:00 11:00
六条 9:16 9:16 勝原 11:06 11:07
足羽 9:19 9:19 柿ヶ島 11:13 11:13
越前東郷 9:22 9:22 下唯野 11:15 11:16
一乗谷 9:25 9:26 越前富田 11:20 11:21
越前高田 9:30 9:31 越前田野 11:23 11:24
市波 9:33 9:34 越前大野 11:28 11:30
小和清水 9:37 9:37 北大野 11:32 11:33
美山 9:42 9:42 牛ヶ原 11:35 11:36
越前薬師 9:45 9:46 計石 11:40 11:40
越前大宮 9:49 9:50 越前大宮 11:43 11:44
計石 9:53 9:53 越前薬師 11:47 11:47
牛ヶ原 9:57 9:58 美山 11:50 11:51
北大野 10:00 10:01 小和清水 11:55 11:56
越前大野 10:04 10:07 市波 11:59 11:59
越前田野 10:11 10:11 越前高田 12:01 12:01
越前富田 10:13 10:14 一乗谷 12:06 12:06
下唯野 10:19 10:19 越前東郷 12:09 12:10
柿ヶ島 10:21 10:22 足羽 12:13 12:13
勝原 10:28 10:28 六条 12:15 12:16
越前下山 10:37 10:37 越前花堂 12:19 12:19
九頭竜湖 10:42 福井 12:23



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