JR北海道/根室本線(釧路-根室/花咲線) 乗車記

2016.11.26


乗車区間  釧路 11:13 → 根室 13:22 (快速「ノサップ」3629D)
 根室 13:32 → 釧路 15:51 (5630D)
乗車列車  快速「ノサップ」 3629D 釧路発、根室行き
 5630D 根室発、釧路行き
車両  国鉄キハ54形気動車500番台 / 526号機 (釧路運輸車両所) (快速「ノサップ」)
 国鉄キハ54形気動車500番台 / 526号機 (釧路運輸車両所) (5630D)

根室本線(釧路-根室)・路線図

根室本線・花咲線について
 花咲線とは、JR根室本線(「滝川-根室」間を結ぶ全線非電化単線の幹線)の根室駅から釧路駅(根室市~浜中町~厚岸町~釧路町~釧路市)を結ぶ 135.4kmの日本最東端の鉄路の愛称。根室まで開通したのは 1921年で、100年近い歴史を持つ。これまで、根室市をはじめとする北方領土隣接地域と北海道内都市部を結ぶ唯一の鉄路として、住民や観光客、また物的な交流を支えてきて、地域だけではなく、国策上重要な位置づけとされていた。しかし、2016年11月に JR北海道にて「単独では維持することが困難な線区」として花咲線が位置付けられ、今後は経費節減や運賃値上げ、利用促進策、上下分離方式への転換などを軸に沿線自治体と協議する予定となっている。

2019.12.25 作成


 2016年11月に「大人の休日倶楽部パス」を使って北海道旅行に出かけた。旅行の目的は、3月に開通した北海道新幹線に乗車すること、8月の台風の影響で不通になった根室本線の代行バス(帯広-トマム間)に乗車すること、12月4日をもって運行を終了する、留萌本線の留萌-増毛間にも乗車することだ。乗車したい区間が多いため、今回は乗車するだけで、撮影する機会はほとんど計画しなかった。
 北海道旅行三日目に釧網本線乗車後、釧路から快速「ノサップ」に乗車して根室まで行き、折り返し釧路まで戻った。花咲線の区間に乗車するのは35年ぶりとなるが、その時乗車したのは「厚床→浜中→釧路」だった。根室、納沙布岬には車で訪れたことがあるが、「厚床-根室」間に乗車するのは今回は初めてとなる。

 JR北海道/釧路駅 (根室本線/釧路市) / 11:13 発車

 根室に向かう快速「ノサップ」はキハ54-526 単機運行だ。専用の方向幕は用意されているが、サボは使用されていない。座席は特急車両のリニューアルによって発生した簡易リクライニングシートだ。しかし、シートは回転できず、車両中央に向かって固定された集団見合い式の配置だ。そのため、太平洋側で進行方向を向いている座席は限られてしまう。
 早めに車内に入ったため、進行方向右側(海側)の前向きの座席を確保出来た。最終的には、釧路から21人の乗客を乗せて出発した。土曜日のためか、多くが観光客のようで。鉄道ファンらしい姿も多い。

 根室本線 快速「ノサップ} 3629D 釧路(11:13)発、根室(13:22)行き
 
国鉄キハ54形気動車500番台 / 526号機 (釧路運輸車両所)

 ずっと林の中を走行が中心だったが、厚岸が近づくと初めて右手に海が見えてくる。これは厚岸湾だ。間もなく厚岸に到着、ここまで一人、二人の降車があったが乗車は無かった。厚岸は釧路-根室間で一番大きな町(駅)だが、二人下車して一人乗車した。20年以上前に駅近くの厚岸町海事記念館に立ち寄ったことがあるので、なんだか懐かしい町だ。
 厚岸駅から先の海は、厚岸湾では無くて厚岸湖だ。厚岸湖はオオハクチョウの大規模な越冬地で、ラムサール条約湿地として登録されている。今日も多くのオオハクチョウの姿を見ることが出来る。塩水湖なのに表面が凍結している場所があり、オオハクチョウや他の鳥たちが氷の上を歩いている。

 車窓 / 厚岸-糸魚沢間で厚岸湖を望む

 厚岸湖が終わると、海岸線を離れて再び内陸に入る。やたら鹿が多いようで、頻繁に鹿対策の警笛を鳴らし、減速することも何度かあった。エゾシカの姿も二度見ることが出来た。
 茶内で一人下車したが、30年以上も前に訪れたことのある浜中や、廃止された標津線の分岐駅だった厚床での乗降は無かった。以前乗車したときには標津線から乗り換えて釧路方面に乗り換えたので、ここから先の区間が初乗車となる。
 落石が近づいてくると再び海が見えてきて、正面から右手に落石岬が見えてくる。その先落石で一名乗車し、快速なので次の停車は終点の根室となる。

 車窓 / 別当賀-落石間で落石岬を望む

 終点の根室駅では、乗客は全員荷物を持って下車し、改札を出るよう指示がある。車内の混雑が予想される場合はこうした指示があることがあるが、今回の増毛駅の場合は例外としてあまり出会ったことが無い。また、キセル対策も考えられる。鉄道ブームの中、ローカル線を旅するケースが増えてきたので、こうした基本対策をとるようにしているのだろうか。
 根室駅での折り返し時間は10分間。駆け足で駅舎を撮影したり、線路の終点の方を眺めて終着駅の気分を堪能した。根室駅は日本最東端の有人駅というのがキャッチフレーズで、本当の最東端の駅は隣の東根室駅だ。

 JR北海道/根室駅 (根室本線/根室市) / 13:22 到着 (折り返し乗車) 13:32 発車

 折り返し釧路行き普通 5630D の乗客は15人だった。驚いたことに、半数以上が折り返し乗車の乗客だった。休日とはいえ、何も無いときにわざわざ花咲線に乗車するマニアがこんなにいるとは思ってもみなかった。

 根室本線 普通 5630D 根室(13:32)発、釧路(15:51)行き
 
国鉄キハ54形気動車500番台 / 526号機(釧路運輸車両所)

 東根室駅で釧路からずっと一緒の乗客が五人降車した。いずれも鉄道ファンといった感じで、どうした目的があるのか気になる。振り返ると、後追いでこの列車を撮影していた。(偶然撮影した初田牛駅は 2019年3月16日に廃止となってしまった。)

 初田牛駅(2019.3.16廃止) / 14:11

 この先は、昨夜の睡眠不足がたたりうとうとしてしまい、記憶が所々飛んでいる。せっかくの車窓を見なかったのはもったいないが、ここまで来て昼寝をするのも贅沢な思い出だろう。

 JR北海道/釧路駅 (根室本線/釧路市) / 15:51 到着

 花咲線に乗車して、それなりの乗客いるといった感じだ。しかし、運行本数と乗車率を考えると大幅な赤字の計上は避けられない路線だ。根室の都市としての規模はたいしたことは無く、沿線にも大きな町がほとんど無い。風光明媚で趣味的には素晴らしい路線だが、地元の足として残すためには大きな負担が増えそうだ。2016年11月に JR北海道にて「単独では維持することが困難な線区」として花咲線が位置付けられているため、この路線の先行きは不透明だ。





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