JR北海道/函館本線
(小樽→長万部/山線、森→大沼/砂原支線) 乗車記


2017.1.30


乗車区間  (札幌 7:57 →) 小樽 8:45 → 長万部 10:35 (→) 森 12:20 → 大沼
 (→ 新函館北斗 14:18)
乗車列車  臨時特急「ニセコ」号 8014D 札幌発、函館行き 
車両  国鉄(JR北海道)キハ183系気動車5000番台
                     / ニセコエクスプレス編成 (3両/苗穂運転所)

函館本線・路線図

函館本線(山線、砂原支線)について
 函館本線は、函館市の函館駅から長万部駅、小樽駅、札幌駅を経由して旭川市の旭川駅を結ぶ JR北海道の鉄道路線(幹線、支線あり)だ。支線を含めて全長は 465.7kmで、これは北海道で最長だ。1880年に北海道最初の鉄道として手宮 (小樽市)-札幌間が開通、その後延伸を繰り返し、国有化され、JR北海道へと民営化された。現在では、函館-長万部間、長万部-小樽間、小樽-札幌-旭川駅間の各区間でそれぞれ路線の性格が異なっている。
 長万部-小樽間は、通称山線(正確には長万部-札幌間)と呼ばれ、全定期列車が各駅停車でローカル輸送に徹している。本州(函館)と道央(札幌)を結ぶ貨物列車、特急列車はすべて室蘭経由で運行されているが、かつての有珠山噴火の例があるように、非常時のバイパスとしての役割を担っている。
 砂原支線は 1945年に全通し、大沼-森間で本線のバイパスの役割を担っている。本線は上り(森→大沼)の勾配がきついため、上り貨物列車は砂原支線を走っている。下り貨物列車と(上下とも)定期特急列車は距離の短い本線を走っている。

2020.5.8 作成


 2017年1月に「大人の休日倶楽部パス」を使って北海道旅行に出かけた。三年連続で同じ時期の北海道旅行となるが、今回の一番の目的は DF200牽引の「カシオペア紀行」の撮影だ。昨年のダイヤ改正で定期運用を終えてからも何度も団体臨時列車として北海道まで運行されているが、5月の「四季島」運行に伴い、北海道まで運行されることは無くなると思われるからだ。そのついでといってはなんだが、「SL冬の湿原号」を今回も撮影する。
 札幌に宿泊した旅行最終日に「ニセコ」号で新函館北斗まで行き、新幹線で東京に帰る。帰路の選択肢として「ニセコ」号を選択したが、函館本線の通称山線(札幌-長万部間)のうち、余市-長万部間はまだ未乗車区間だ。函館本線とはいえ、小樽-長万部間は完全なローカル線で、なかなか乗り通す機会が無かった。ローカル線区間なので普通列車に乗るのが望ましいが、今回は特急列車を利用する。乗車してわかったことだが、「ニセコ」号は、森-大沼間は砂原支線を通る。この砂原支線も未乗車だったので、予定外の収穫となった。

 JR北海道/札幌駅 (函館本線/札幌市) / 7:57 発車

 臨時特急「ニセコ号」は、函館本線山線を経由して札幌-函館間に毎日一往復設定されている。設定股間は「大人の休日倶楽部パス」の設定期間で、北海道新幹線からの乗り換えのパス利用客を念頭に置かれていると思われる。2012年運行の「ヌプリ」から設定が続いているのでそれなりに利用者を見込めるのだろうが、ニセコ地区にスキー以外に集客力があるとは思えず、小樽については室蘭本線経由と所要時間は変わらない。
 「ニセコ号」は発車6分前に入線してきた。札幌駅はいつも慌ただしいので仕方が無いが、もう少し工夫をして停車時間を確保して欲しい。車両は、ジョイフルトレインの3両編成「ニセコエクスプレス」だ。床は一般車より20センチ高いが、バリアフリー対応には問題なかったため、こうした臨時列車として使用される機会が多いようだ。内装はリゾート列車としては地味な方だが、座席はしっかりして座りやすい。シートピッチは古い車両にしては広めだが、センターアームレストが無いのがマイナスだ。

 臨時特急「ニセコ」号 8014D 札幌(7:57)発、函館(13:15)行き
 
国鉄(JR北海道)キハ183系形気動車5000番台 / ニセコエクスプレス編成 (3両/苗穂運転所)

 予想していたとおり春節の休暇を利用した中国人旅行者が多い。乗車した2号車の座席は8割方埋まったが、ぱっと見半数近くが外国人だ。隣の席も中国の人が座ったが、日本語の上手な紳士的な人だった。
 手稲、小樽築港では乗降客は無く、次の停車駅は小樽だ。銭函-小樽築港間は石狩湾沿いを走る区間で、冬の日本海の厳しさを見ることができる。この先余市から山の中に入っていき、次に海を見ることができるのは長万部を過ぎてからの内浦湾だ。小樽では5分間の停車だったが、乗車したのは数名だけのようだった。

 小樽駅 / 8:40~45

 次の蘭島では上り普通列車との交換のため1分ほどの運転停車をした。小樽から先は運転本数が少ないので、特急が待ち合わせのための運転停車を行わないダイヤを組めそうな気がするが、こちらは観光列車なのでそんなに急ぐ必要は無いということか。それとも、単純に下り普通列車が遅れただけなのかもしれない。

 蘭島駅 / 運転停車 / 9:01~9:02頃

 余市では7分間の停車時間があったが、下り列車との交換はなかった。この長い停車時間を利用して、多くの乗客が車外に出ていった。この停車時間は、乗客のためのもののようだった。

 余市駅 / 9:08~15

 余市からは初乗車の区間となる。山の中をしばらく走ると小沢駅で5分間の運転停車がある。この駅では下り普通列車との交換があった。山線は運転本数は少ないが、小樽-倶知安間は一部の時間を除いて1時間に一本程度の定期列車が走っている。
 RALLY JAPAN 2008 観戦後、この先の有名撮影ポイントで 「SLニセコ号」撮影し、その帰路にこの駅に立ち寄りトイレを拝借した思い出がある。小さな無人駅だが、広い構内で立派な跨線橋と駅舎があった記憶がある。かつては、ここから岩内まで岩内線が延びていたということだ。

 小沢駅 / 運転停車 / 9:44~49頃

 小沢を出発すると、小沢峠に向かって傾斜を登っていく。登り切る手前に2008年秋に訪れた有名撮影地があるが、そこには数名の撮影者がいた。「SLニセコ」時代の有名撮影地だが、こんな列車でもわざわざこんなところまで撮影に来る人がいるのだ。
 倶知安では中国の人達はほとんど下車し、白人のスキー客が数名乗車した。ニセコ観光の玄関口の一つの駅で、札幌延伸後の北海道新幹線の停車駅となっている。スキーが有名なニセコだが、今ではオーストラリアなど南半球のスキーヤーが訪れる有名観光地となっている。車内は5割程度の乗客となり、ここからはゆったり先に行くことができた。

 倶知安駅 / 10:02~03

 倶知安-ニセコ間では地元の観光協会により車内販売が行われることになっている。1号車と3号車の両方から販売が開始されたようだが、2号車まで来た時にはお目当ての飲むヨーグルトは売り切れとなってしまっていた。
 右手にニセコの山を見ていると間もなくニセコに到着。ここでも数名の乗降があったようだ。スキーエリアとしてはかなり有名なニセコだが、アクセスを考えると電車で訪れる人はわずかだろう。私も札幌在住時ニセコにスキーに来たが、移動の足は自動車だった。

 ニセコ駅 / 10:17

 右手車窓に広がるのはニセコ連峰だ。東西にわたって伸びる火山群で、最高峰は標高1,302mのニセコアンヌプリだ。冬はスキー場として有名だが、夏にはトレッカーなどで賑わっている。反対側の車窓には羊蹄山がそびえているはずだが、この座席からは確認することが出来なかった。

 ニセコ連峰 (ニセコ-昆布間)

 次の停車駅は隣の昆布だ。一面一線ホームの無人駅で、とても特急停車駅とは思えない。ニセコ温泉郷へのアクセス駅となっているようだが、実際はどうかはわからない。当然、ここでの乗降客はゼロだった。

 昆布駅 / 10:27~28

 次の停車駅は黒松内だ。昆布より大きい駅だが、ここでも乗降客はいなかった。立派な駅舎があるが、現在は無人駅のようだ。

黒松内駅 / 11:06

 プレハブ小屋のような小さな二股駅を過ぎると、次は山線としての終点といえる長万部だ。長万部で室蘭本線と合流し、ここからは特急が行き交う幹線となる。この駅で9分間の停車があるが、10時半までに電話で予約しておくと、ホームで駅弁「かにめし」を購入することが出来る。
 札幌駅での停車時間が短かったので、車外に出て「ニセコエクスプレス」を観察してみる。キハ183系最終増備車をベースとしたJR北海道自社工場での新造車で、この新世代のリゾート列車は3編成が運用されている。団体臨時列車運用が前提に製造されたので、行き先や列車名を表す方向幕などは無く、今回はステッカーにより代用されている。

 長万部駅 / 11:26~35

 長万部から函館本線は内浦湾沿いに南下する。この区間は「スーパー北斗」や「北斗星」等で何度も走っているのでなじみのある見慣れた車窓だ。八雲で運転停車の案内があったが、一旦停止してすぐに発車した。「スーパー北斗」との交換のようだが、この先複線区間なのでここで停車する意味が良いわからない。

 八雲駅 / 運転停車 / 11:57頃

 次の停車は、砂原支線と本線の分岐駅の森駅だ。「いかめし」で有名な森駅だが、現在は駅構内では売っていない。しかし、全国各地で行われる北海道物産展や駅弁大会で出張販売が行われているので、正確には駅弁とはいえないが知名度はかなり高い。

 森駅 / 11:19~20

 森を発車すると次の停車駅は鹿部だが、聞き慣れない駅でどこか地図を見ると、砂原支線の駅だった。事前に確認しておかなかったが、この列車は砂原支線経由なのだ。記憶に間違えなければ、砂原支線は初乗車だ。特急はすべて大沼公園のある本線経由で、この区間の普通列車に乗った記憶は無い。この場で気がついたことで、何か得をした気分だ。

 掛澗駅 / 12:25頃通過

 渡島砂原駅 / 12:28頃通過

 渡島沼尻駅 / 12:32頃通過

 砂原支線内での唯一の停車駅の鹿部駅では乗降客はなかった。昔の名残で立派な駅舎があるが、9時台から14時台まで上り下りとも定期列車が走っていない。

 鹿部駅 / 12:36~37

 銚子口駅 / 12:44頃通過

 大沼で大沼公園方面からの本線と合流するが、この駅には停車しない。それなりの規模の駅のようだが、「スーパー北斗」等の特急列車も停車しない。

 大沼駅 / 12:50頃通過

 大沼で本線と合流すると、間もなく新函館北斗に到着する。ほとんどの乗客が下車するようで、車内が慌ただしくなる。新函館北斗では東京行きの「はやぶさ24号」まで38分の乗り換え時間がある。
 新函館北斗駅は2016年3月26日以前は渡島大野駅と呼ばれ、特急は止まらない小さな駅だった。札幌までの延伸を前提とした線形上の理由で、函館から大きく離れた場所が新幹線の停車駅となった。当然のことで、新しい新幹線の駅名が決着するまであれこれともめた。新幹線の駅として周辺の整備が行われてきたが、現時点では駅舎とロータリの他にはこれといって何も出来ていない。

 新函館北斗駅 / 12:57到着

 2030年度を予定している北海道新幹線の札幌延伸時には、函館-小樽間が経営分離されることになっている。北海道と沿線地方自治体などが出資した第三セクター方式の鉄道事業者に引き継ぐと思われるが、かなり厳しい経営になることが予想される。引き続き貨物が走ると思われる、五稜郭-長万部間はともかくとして、長万部-小樽間を鉄道で維持するのは非常に大変なことになるだろう。室蘭本線・千歳線のバイパスという役割もあるので、廃止してバス転換も現実的でない(実際、2000年の有珠山噴火の際は迂回運転で必要性が見直された)。
 今回はこの区間を特急で乗り通しただけだが、次の機会があれば雪の無い季節に普通列車で乗り通してみたい。特急列車は快適で、あっという間のように感じた。風光明媚な沿線で、趣味的には非常に楽しめると思うが、それとは裏腹に北海道の鉄道の維持の難しさを更に感じるだろう。終焉が近いキハ40 かキハ150 に乗車出来るかなと考えていたが、2020年3月のダイヤ改正で最新型の H100形に置き換えられてしまった。





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