JR西日本/加古川線(谷川→加古川) 乗車記

2023.3.17


乗車区間  谷川 15:13 → 西脇市 15:42 (2328S)
 西脇市 15:45 → 加古川 16:31 (1344S)
 
 
乗車列車  普通 2328S 谷川発、西脇市行き
 普通 1344S 西脇市発、加古川行き
車両  JR西日本125系電車 / N-4編成(1両/網干総合車両所明石支所加古川派出所)(2328S)
 JR西日本103系電車3550番台 / M-5編成(2両/網干総合車両所明石支所加古川派出所)(1344S)

加古川線・路線図

加古川線について
 加古川線は兵庫県加古川市の加古川駅から丹波市の谷川駅を結ぶ 48.5㎞ の地方交通線。全区間単線で直流電化されている。起点の加古川駅で山陽本線に、終点の谷川駅で福知山線に接続している。
 1995年に発生した阪神・淡路大震災の際には、地震の被害で寸断された東海道・山陽本線の迂回路の役割を果たした。ところが加古川線は単線である上に、当時は非電化だったため、その輸送力には限界があり、加古川線と同じく当時は単線で全線非電化だったものの播但線も迂回路として利用された。この貧弱な輸送力に、非常時の代替線として機能強化を求める声が起きて、2004年12月19日に加古川線は全線が直流電化された。
 西脇市-谷川間は 、JR西日本が公表した「輸送密度2,000人以下」路線30線区に含まれていて、2019年の輸送密度は 321人となっている。
営業距離   48.5㎞
  (加古川-西脇市 31.2㎞)
  (西脇市-谷川  17.3㎞)
電化・非電化 全区間直流電化
2019年度輸送密度   2,786人
  (加古川-西脇市 4,152人)
  (西脇市-谷川  321人)
単線・複線 全区間単線

2023.5.24 作成


 2022年2月にJR西日本が公表した「輸送密度2000未満」30線区リストに載っている、近畿地方(一部はみ出る)の路線に乗車する二泊三日の旅に出かけた。関西本線(亀山-加茂)、因美線(東津山-智頭)の2線をターゲットにして、往路は JAL のマイルを使って高松まで飛行機を利用した。高松から先は18きっぷだけで東京まで移動した。
 鳥取市内に宿泊した旅行二日目に、山陰本線と福知山線を乗り継いで谷川まで移動した。谷川駅は12年前に訪れたことがある。その時は、尼崎(大阪)から福知山線に乗車して、国鉄色の 381系「こうのとり」を、谷川駅周辺で撮影した。谷川からは今回の旅の目的のひとつの、初乗車となる加古川線に乗車した。加古川まで直通する電車は1本しかないので、西脇市で乗り換える。

 JR西日本 / 谷川駅(兵庫県丹波市) / 15:13 発車

 定刻の 14:10 に加古川発の普通電車が到着した。この電車が、折り返し 15:13発、西脇市行きになる。車両は 125系電車一両編成で、両運転台で一両で運行できる珍しい電車だ。運用されているのは加古川線と小浜線だけで、路線の電化にあわせて地元自治体の補助で新造された車両だ。125系電車には昨年小浜線で乗車した。
 発車まで40分以上あったが、乗車出来るようなのでホームに移動した。ホームでは職員が時刻表の差し替えを行っていた。明日がダイヤ改正なので新しい時刻表を設置して、その上に今日までの時刻表を貼っていたようだ。既に乗車している人もいて、最終的に乗客は12人になった。思っていたより乗客が多かったが、前の西脇市行きから3時間空いているのでこんなものなのだろう。

 加古川線 普通 2328S 谷川(15:13)発、西脇市(15:42)行き
 
JR西日本125系電車 / N-4編成(1両/JR西日本/網干総合車両所明石支所加古川派出所)

 谷川駅を出発して最初の駅の久下村駅を過ぎると、右手の篠山川の向こうに異様に大きな建物群が見えてくる。温泉旅館かマンションのようにも見えたが、いずれにしても何か違うように感じる。早速調べてみると、円応教という新興宗教の本部のようだ。教義などには興味が無いが、かなりの信者を抱えている新興宗教らしい。

 車窓 / 篠山川 と 円応教本部(久下村→船町口)

 右手を流れる篠山川が加古川に合流すると船町口駅だ。コンクリート造りの小さな駅舎が印象的だった。駅舎といっても券売機もトイレもないようなので、待合室のような感じだ。2020年度の1日平均乗車人員は3人で、兵庫県のJRの駅、並びに近畿統括本部管内では最も少ないそうだ。

 船町口駅(兵庫県西脇市) / 15:21

 本黒田駅の次が黒田庄駅で、この駅には大きくはないが立派な駅舎がある。駅舎は 2004年の電化に合わせて改築され、2005年に完成した。券売機など無い無人駅だが、多目的室を使用して町の交流施設「あつまっ亭」が併設されているそうだ。

 黒田庄駅(兵庫県西脇市) / 15:28~29

 加古川線は全区間にわたって加古川(と、その支流の篠山川)に沿っている。谷川駅を出て篠山川を渡ると、新西脇駅まではずっと左岸を走っている。谷川-西脇市間の途中駅は全て無人駅で、券売機や乗車証明書発行機が設置されていない。トイレが設置されていない駅も複数あるが、利用者の数を考えると妥当なのだろう。

 新西脇駅(兵庫県西脇市) / 15:39

 西脇市駅では3分の乗り換え時間で、加古川行き普通電車に乗り換える。跨線橋による乗り換えなので、時間に余裕はない。また訪れる機会があるかどうかわからないので駅舎くらい見ておきたかったが、そんな時間は無い。次の電車は1時間後なので、駅舎を見るため1時間待つ気もない。
 駅舎に接しているホーム(3番線)は加古川方面線用で、島式ホームの1番線が谷川方面に利用されている。利用者の人数を考えると、両方面の乗り換え客より当駅で乗降する客の利便性を優先するのは仕方ないだろう。

 JR西日本 / 西脇駅(兵庫県西脇市) / 15:42 到着(乗り換え)15:45 発車

 3番ホームに停車している加古川行き普通電車は、見たことが無い外観の二両編成だった。型式番号を確認すると、103系3550番台だった。中間電動車(モハ)に運転台を設置して制御電動車(クモハ)に改造したものだ。貫通扉が増設されているので、オリジナルの 103系とは顔が全然違う。事前にこの区間の運用車両を確認しておかなかったので、この顔を見たときには驚いた。改造車両とはいえ、ここで 103系に乗車することができるとは思ってもみなかった。
 車内はロングシートのままだが、体質改善が行われていてワンマン設備が設置されているので、オリジナルとはだいぶ雰囲気が違う。また、驚いたことにトイレが増設されている。

 加古川線 普通 1344S 西脇市(15:45)発、加古川(16:31)行き
 
JR西日本103系電車3550番台 / M-5(2両/JR西日本/網干総合車両所明石支所加古川派出所)

 西脇市駅を発車するときにはロングシートの半分程度は埋まっていた。その後途中駅では結構乗車があり、加古川駅に到着するときには座席は全て埋まり、立っている人も現れた。加古川-西脇市間の平均通過人員は見当たらないが、公表されている全区間と西脇市-谷川間の人数から計算すると 4,152人となる。数字はともかく、この区間については鉄道としての役割を果たしているといえるだろう。

 JR西日本 / 加古川駅(兵庫県加古川市) / 16:31 到着

 加古川線の全線を乗り通したが、「輸送密度2,000人以下」路線30線区に含まれていている「西脇市-谷川」間については鉄道維持は難しいように感じた。国土交通省が設置した有識者などでつくる検討会は 2022年7月に、「輸送密度」が 1000人未満の区間などを対象にバスなどへの転換も含め、協議を進めるべきとする提言した。「西脇市-谷川」間についてはこの対象にも含まれる。
 JR西日本は、2020年度実績から加古川線を、加古川-厄神、厄神-西脇市、西脇市-谷川間の三つに分けて平均通過人員を公表している。その区間分けによる 2020年度の実績は、5,798人、2,435人、215人となっている(2019年度の数値は見つけられなかった)。この区間分けによると、厄神-西脇市間についても必ずしも安泰とは言えない。この区間分けについては、鉄道会社の恣意的な部分も感じられるので、しっかり検討する必要があるだろう。





トップへ
戻る




inserted by FC2 system