JR東日本/釜石線(釜石→花巻) 乗車記

2022.7.6


乗車区間  釜石 14:18 → 花巻 (→盛岡 16:39) (快速「はまゆり」6号)
乗車列車  快速「はまゆり」6号 3626D 釜石発、盛岡行き
車両  JR東日本キハ110系気動車0番台 / 112-1+111-1+110-5(3両/盛岡車両センター)

釜石線・路線図

釜石線について
 釜石線は、岩手県花巻市の花巻駅と釜石市の釜石駅を結ぶ JR東日本の地方交通線。愛称は「銀河ドリームライン釜石線」。2011年3月11日に発生した東日本大震災で一部が被災し運休したものの、翌月には全線での運行を再開した。沿線には釜石製鐵所や釜石鉱山があり、かつては貨物列車も運行されていたが、現在は旅客輸送のみのローカル線となっている。
 JR東日本が 2022年7月に公表した、2019年度に輸送密度2,000人未満だった 35路線66区間のなかに全区間が含まれている。内訳は、花巻-遠野(897人)、遠野-釜石(583人)となっている。
営業距離  花巻-釜石 90.2㎞ 
  (花巻-遠野 46.0㎞)
  (遠野-釜石 44.2㎞)
電化・非電化   全区間非電化
2019年度輸送密度  花巻-釜石 743人
  (花巻-遠野 897人)
  (遠野-釜石 583人)
単線・複線   全区間単線

2023.6.6 作成


 「北海道 & 東日本パス」を利用して、JR北海道の未乗車区間に乗車する四泊五日の旅に出かけた。JR北海道の未乗車区間は、室蘭本線(東室蘭-室蘭)、同(追分-岩見沢)、日高本線(苫小牧-鵡川)、根室本線(滝川-富良野)、同(東鹿越-新得)、宗谷本線(北永山-稚内)だ。このうち東鹿越-新得間は災害により運休中なので乗車はできない(2024年4月1日の廃止が決まった)。
 JR東日本管内では、未乗車の大船渡線と釜石線に乗車して、昨年の東北旅行の時には休館中だった陸前高田の東日本大震災津波伝承館に立ち寄った。そして、北海道に渡るのには、八戸-苫小牧間のシルバーフェリーの夜行便を利用した。
 一関市内に宿泊した旅行二日目に、大船渡線、大船渡線BRT、三陸鉄道を乗り継いで釜石まで移動した。釜石駅を訪れるのは、昨年9月の東北旅行以来二度目だ。釜石からは釜石線の快速「はまゆり」6号に乗車する。この列車は釜石線の終点の花巻から東北本線に入り、盛岡まで行く。盛岡からはいわて銀河鉄道線(青い森鉄道線直通)に乗車して八戸に向かい、苫小牧行きシルバーフェリーに乗船する。

 JR東日本 / 釜石駅(岩手県釜石市) / 14:18 発車

 釜石線の快速「やまゆり」6号盛岡行きは、キハ110系三両編成だ。前寄り2両が自由席で、最後尾車両が指定席となっている。 指定席車両は回転リクライニングシートと決まっているが、自由席2両も回転リクライニングシートだった。念のため指定席券を購入しておいたが、いずれの車内もがらがらなので自由席でもよかった。長時間の乗車になるので、このリクライニングシートに座りたかった。結局、指定席の乗客は2人だけだった。

 快速「はまゆり」6号 3626D 釜石(14:18)発、盛岡(16:39)行き
 
JR東日本キハ110系気動車0番台 / 112-1+111-1+110-5(3両/JR東日本/盛岡車両センター)

 釜石線は洞泉(陸中大橋)-上有住間に「オメガループ」という見所がある。これは難所である仙人峠の高低差を克服するために、このような迂回する形がとられたとされている。釜石から向かった列車は洞泉をすぎると方向を北に変え標高を稼いでいく。カーブを繰り返しながらいくつもの鉄橋を渡っていくと、進行方向左手の山の山腹に赤い鉄橋(鬼ヶ沢橋梁)が見えてくる。後でこの橋を渡ることになる。

 車窓 / オメガ(Ω) ループ線(洞泉→陸中大橋)

 程なくして陸中大橋駅に停車する。釜石鉱山が稼働していた頃は栄えていた駅だが、今はひっそりとした山間の駅だ。この列車の停車駅ではないが、少しの間運転停車をした。

 陸中大橋駅(岩手県釜石市) / 運転停車

 陸中大橋駅を発車するとすぐに長大な第二大橋トンネルに入る。このトンネル内部は急勾配で大きな左カーブとなっていて、列車は180度向きを変えることになる。このカーブが「オメガループ」の核心部だ。さらに第一大橋トンネルを抜けると左手下の方に先ほど通った釜石線の線路が見えてくる。
 洞泉-上有住間は直線で約7㎞だが、実際の線路は陸中大橋を経由するため約14㎞もある。鉱石の積み出しのため線路は陸中大橋を経由しているのだが、こうして乗車してみると勾配緩和のためにもこうして大きく迂回しているのがわかる。

 車窓 / オメガ(Ω) ループ線(陸中大橋→上有住)

 上り勾配とトンネルが続き、釜石線の最高地点(標高480m)は足ヶ瀬のすぐ手前にある。ここで上り坂は終わったので、うなっていたエンジンは静かになってきた。やがて遠野盆地に入り、岩手上郷、遠野と停車する。 遠野駅は釜石線の沿線の中心駅で、有名な観光地だ。「民話のふるさと」遠野には学生時代に観光に訪れたことがあり懐かしい(車で訪れた)。遠野駅では指定席に1人乗車があった。

 遠野駅(岩手県遠野市) / 15:09~10

 次の鱒沢駅では列車交換のため4分の停車時間があった。こちらが先に到着して、交換列車を待った。釜石行き 657D はキハ100形一両で、それなりに乗客が乗っていた。

 鱒沢駅(岩手県遠野市) / 15:22~26

 花巻市に入って二つ目の駅の土沢駅は、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」の始発駅のモデルとなった駅とされている。釜石線の前身の岩手軽便鉄道は 1913年10月25日に当駅まで開通した。宮沢賢治は星空が広がる夜に、当時は終点だった当駅から花巻へ向かう軽便鉄道の様子を見て「銀河鉄道の夜」の構想を思い立ったということだ。

 土沢駅(岩手県花巻市) / 15:10~51

 次は東北新幹線との乗換駅の新花巻駅で、指定席の他の2人はここで下車した。花巻で東北本線に入り進行方向が変わるが、車内のアナウンスは「座席方向に対して後ろ向きに進行するだった」。シートは方向転換が可能な旨アナウンスもあったので、前のシートと一緒に方向を変えて進行方向をを向いた。自由席の方は誰も座席の方向転換はしていないようだ。

 花巻駅(岩手県花巻市) / 16:05~10

 定刻の 16時10分、花巻を出発。東北本線は盛岡までは途中8駅あるが、停車するのは矢幅だけだ。そのため、北上盆地をキハ110系気動車は速度を上げて走行した。釜石線と東北本線では線形や線路規格が違うので、結構速度を上げているように感じた。

 JR東日本 / 盛岡駅(岩手県盛岡市) / 16:39 到着

 釜石線にはいくつかの鉄道としての名所がある。まず、に洞泉(陸中大橋)-上有住間の仙人峠越え(オメガループ)だ。車窓はもちろんだが、上り列車の上り急勾配走行、エンジン音が見どころ、聞きどころだ。次に、宮守-柏木平のアーチ橋の宮森川橋梁(めがね橋)だ。こちらは、外から列車を眺めるのがいいだろう。そして、途中にある遠野は、見所の多い著名な観光地だ。
 2014年4月に運行を開始した釜石線を走る「SL銀河」は、2023年6月11日を以って列車が廃止されることが決まっている。この廃止は牽引される客車(気動車)の老朽化によるものと思われる。釜石線の仙人峠を中心とする急勾配対応から、客車ではなく動力のある気動車があてられていた。現状代替車両が見当たらないので、「SL銀河」の復活は厳しそうだ。また、後継となる観光列車につて、JR東日本から何もアナウンスされていない。
 釜石線は全区間輸送密度が 1,000人未満なので、国土交通省の有識者会議による提言により、今後について協議が必要な路線に該当する。このタイミングでの「SL銀河」の廃止は厳しい。





トップへ
戻る




inserted by FC2 system