JR北海道/室蘭本線(沼ノ端→岩見沢) 乗車記

2022.7.7


乗車区間  (苫小牧 13:26 →) 沼ノ端 → 岩見沢 14:50 (1469D)
乗車列車  普通 1469D 苫小牧発、岩見沢行き
車両  JR北海道キハ150形気動車100番台 (150-108) + 国鉄キハ40形気動車1700番台 (40-1763)
      + キハ150形100番台 (150-110)(3両/苫小牧運転所/客扱いは 150-108 のみ)

室蘭本線・路線図

室蘭本線(沼ノ端-岩見沢間)について
 室蘭本線は、北海道山越郡長万部町の長万部駅から、室蘭市、苫小牧市等を経て岩見沢市の岩見沢駅を結ぶ本線と、室蘭市の東室蘭駅から室蘭駅までを結ぶ支線からなる JR北海道の幹線。長万部駅と岩見沢駅の両端で函館本線と接続している路線で、長万部-苫小牧間では海沿いを、苫小牧-岩見沢駅間では内陸部を走る。
 現在、全線を通して運転される旅客列車は無い。長万部-沼ノ端間は千歳線に直通する札幌発着の特急列車が多く経由する区間で、札幌市と函館市とを結ぶ動脈の一部となっている。このうち室蘭-東室蘭-沼ノ端間は交流電化されている。一方、沼ノ端-岩見沢間は優等列車の運転が無く、ローカル輸送が中心となっている。JR貨物による貨物列車は支線を除く全線で運転されている。
 JR北海道が 2016年11月18日に公表した、単独での維持を困難とする10路線13区間の中に沼ノ端-岩見沢間が含まれている。輸送密度200人以上2,000人未満の線区に分類され、『自社単独では老朽土木構造物の更新を含め「安全な鉄道サービス」を持続的に維持するための費用を確保できない線区』としている。2015年度の輸送密度は、500人となっている。一方、長万部-沼ノ端間、東室蘭- 室蘭間は JR北海道単独で維持が可能としている。
営業距離  沼ノ端-岩見沢 67.0㎞ 電化・非電化   全区間非電化
2015年度輸送密度  沼ノ端-岩見沢 500人 単線・複線  沼ノ端-三川、由仁-栗山 複線
 三川-由仁、栗山-岩見沢 単線

2023.6.7 作成


 「北海道 & 東日本パス」を利用して、JR北海道の未乗車区間に乗車する四泊五日の旅に出かけた。JR北海道の未乗車区間は、室蘭本線(東室蘭-室蘭)、同(追分-岩見沢)、日高本線(苫小牧-鵡川)、根室本線(滝川-富良野)、同(東鹿越-新得)、宗谷本線(北永山-稚内)だ。このうち東鹿越-新得間は災害により運休中なので乗車はできない(2024年4月1日の廃止が決まった)。
 JR東日本管内では、未乗車の大船渡線と釜石線に乗車して、昨年の東北旅行の時には休館中だった陸前高田の東日本大震災津波伝承館に立ち寄った。そして、北海道に渡るのには、八戸-苫小牧間のシルバーフェリーの夜行便を利用した。
 夜行便のシルバーフェリーで苫小牧に上陸した旅行三日目に、苫小牧から日高本線の鵡川と、室蘭支線の室蘭を往復した後、室蘭本線に乗車して岩見沢に向かった。今回の旅行は JR北海道の未乗車区間全てに乗るのが目的だが、乗車記としては、JR北海道が 2016年11月18日に公表した「単独での維持を困難とする10路線13区間」のひとつとしている。対象となる区間は沼ノ端からだが、すべての列車が苫小牧まで乗り入れている。

 JR北海道 / 苫小牧駅(北海道苫小牧市) / 13:26 発車

 室蘭本線経由岩見沢行き 1469D はキハ150+キハ40+キハ150 の三両編成で驚いたが、客扱いは先頭車両(キハ150-108)だけで、後二両は締め切り扱いだった。間違って乗車しようとしないように、ドアに「締切回送、この車両には乗車出来ません」と張り紙がしてあった。
 2人がけのボックスシートに座ったが何かがおかしい。窓は上部だけが開く仕組みだが、全てが開け放れている。キハ150形100番台にはなんと冷房が付いていないのだ。今日はそれほど暑くないのでクールファンだけでもなんとかなるが、停まっている時は暑い。

 室蘭本線 普通 1469D 苫小牧(13:26)発、岩見沢(14:50)行き
 
JR北海道キハ150形気動車100番台 (150-108) + 国鉄キハ40形気動車1700番台 (40-1763)
        + キハ150形気動車100番台 (150-110)(3両/苫小牧運転所/客扱いは 150-108 のみ)

 苫小牧からは4人の乗客を乗せて出発した。室蘭本線のこの区間は、追分までは 2014年の北海道旅行の時に乗車した。その時は夕張支線(石勝線夕張支線、2019年4月1日廃止)乗車が目的だったので、苫小牧から乗車して追分で石勝線に乗り換えた。
 次の沼ノ端で1人乗車があったが、この列車は室蘭本線経由の岩見沢行きで札幌方面には行かないと案内があると、慌てて降りていった。千歳線の電車と勘違いしたようだが、この様子だと乗り間違えはたびたび起こっているのだろう。
 沼ノ端を発車するとすぐに、右手に千歳線上りが合流し、その先で千歳線(下り)が左に分かれていく。そして、千歳線下りの線路の下をくぐる。

 遠浅駅(北海道勇払郡安平町) / 13:43

 かつては運炭列車が運行されてこの区間は全て複線だったが、現在は三川から先は単線となっている(由仁-栗山間は複線)。室蘭本線となっているが、今は追分-岩見沢間は運転本数の少ないローカル線となっている。

 早来駅(北海道勇払郡安平町) / 13:49

 安平駅(北海道勇払郡安平町) / 13:55~56

 安平と追分の中間くらいで、左(千歳)方面からやって来た石勝線が頭上をまたぎ、右手を平行して走るようになる。そのまましばらく走ると、追分駅に到着する。
 追分駅は室蘭本線と石勝線が交差する駅で、この区間の途中駅では一番大きな駅だ。ほとんどの特急が停車するが、通過する「おおぞら」もある。かつては石炭輸送等で栄え、鉄道の要所だった追分駅も、今は閑散としたローカル駅となっている。やたらと広い駅構内がかつての繁栄を偲ばせる。

追分駅(北海道勇払郡安平町) / 14:03~05

 前回乗車した時は追分で石勝線に乗り換えたので、ここから先は初乗車となる。追分を発車すると右手には石勝線が並行して走っているが、間もなく石勝線は分かれて方向を東に転じる。稀府から次の三川までが複線で、その先は岩見沢まで由仁-栗山間を除き単線となる。

 三川駅(北海道夕張郡由仁町) / 14:13

 1944年に追分-三川間、1968年に由仁-栗山間、1969年に栗山-栗丘間が複線化されたようだが、三川-由仁間は複線化されることがなくずっと単線だったようだ。


 古山駅(北海道夕張郡由仁町) / 14:17~18

 由仁駅(北海道夕張郡由仁町) / 14:22

 由仁-栗山間は複線区間だ。室蘭本線の沼ノ端以北の複線区間は完全に過剰設備となっている。単線に戻した方が維持コストの削減になるように思えるが、単線化の費用の方が負担が大きいと考えているのだろうか。

 栗山駅(北海道夕張郡栗山町) / 14:27~28

 栗山-栗丘間は 1969年に複線化されたのだが、1990年に下り線のある栗山トンネルの明かり区間の一部が上部の法面と共に崩落したため、そのまま廃止、単線化された。現在使われている新栗山トンネルは、下り線とやや離れた位置に、上り線用の単線トンネルとして 1969年に開通したものだ。

 栗丘駅(北海道岩見沢市) / 14:32~33

 栗沢駅(北海道岩見沢市) / 14:37~38

 志文駅(北海道岩見沢市) / 14:42~43

 志文-岩見沢間は、開通当初からの距離の短い線路(旧旅客線)と、旧・岩見沢操車場を通る 1961年に完成した距離の長い貨物線が、それぞれ双方向運転が可能な単線として併存していた(単線並列区間)。
 旧旅客線は志文駅からまっすぐ北上して岩見沢駅近傍で旧国道12号(4条通、現道道6号区間)と踏切で交差していたため、同国道及び市内道路交通のボトルネックとなっていた。一方旧貨物線は、志文駅から一旦北西方向へ向きを変え、函館本線上幌向駅近くまで広がっていた操車場の南西端へ向かっていたため岩見沢市街外側の農地を通っていて、かつ、国道12号を立体交差で越えていた。市街地の分断解消と市内交通の円滑化を図る目的で、休止中の貨物線を 1994年復活のうえ旅客線に転用、本来の線路(旧旅客線)は廃止され、再び単線となった。

 JR北海道 / 岩見沢駅(北海道岩見沢市) / 14:50 到着

 室蘭本線のこの区間は札幌近郊を走っているが、沿線人口が少なく、札幌に直通していないので利用客が少ない。また、空知地区の炭鉱も軒並み閉山となり、貨物輸送も激減してしまった。北海道において輸送密度 500人をどう考えるかによるが、一定の需要があるのも事実だ。もし沼ノ端-岩見沢が廃止されると沿線から札幌へはクルマかバスしか使えず、不便になる人も多いのではないだろうか。JR北海道の体力では単独で営業を維持するのは難しいと思われるので、国や自治体(特に北海道)が支援が必要だ。





トップへ
戻る




inserted by FC2 system