JR東日本/大船渡線BRT(気仙沼→大船渡→盛) 乗車記

2021.9.9~10


乗車バス  大船渡線BRT 普通 1337F 気仙沼発、盛行き
 大船渡線BRT 普通 1301F 陸前矢作発、盛行き
運営者  JR東日本(運行:岩手県交通)
乗車区間  気仙沼 13:39 → 大船渡 15:01(9/9)
 大船渡 6:33 (定刻6:31) → 盛 6:39 (定刻6:37)(9/10)
車両 JR東日本 Y537-13501(岩手200 か 1801)/日野ブルーリボン LNG-HU8JMGP(2013年) (1337F)
JR東日本 Y537-12516(岩手200 か 1766)/日野ブルーリボン LNG-HU8JMGP(2013年) (1301F)
走行道路  気仙沼駅(気仙沼街道・気仙沼唐桑線・気仙沼陸前高田線・気仙沼BP・大島浪坂線)
 気仙沼鹿折IC(三陸縦貫道)唐桑小原木IC(国道45号・一般道)陸前今泉(一般道)
 道の駅高田松原(一般道)陸前高田駅(一般道)高田高校前(一般道)高田病院
 (一般道・アップルロード)小友駅西側(専用道)小友駅東側(県道38号・国道45号)
 大船渡駅(県道230号)盛駅

大船渡線BRTについて
 大船渡線BRTは、JR東日本が運営するバス高速輸送システム(BRT)で、宮城県気仙沼市の気仙沼駅,、岩手県陸前高田市の陸前矢作駅と岩手県大船渡市の盛駅間で運行されている。また大船渡線BRTでは、鉄道からのルート変更により上鹿折駅を経由しなくなったため、ミヤコーバス鹿折金山線の気仙沼駅前-上鹿折駅前間をBRT区間として運行している。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた、JR東日本の大船渡線気仙沼-盛間の復旧手段として導入されたBRT。この区間の代行輸送として、2013年3月2日よりBRTの運行を開始した。当初は鉄道の仮復旧という位置づけだったが、沿線自治体との合意により鉄道に代わる最終的な復旧手段となった。
 同時に被災した気仙沼線BRT・前谷地-気仙沼間については、2012年8月20日からバス代行運転扱いで暫定的に運行を開始して、12月22日より 気仙沼線BRTとして本格的に運行された。BRTが導入された区間の鉄道については2019年11月12日に廃止する旨の届出が行われ、2020年4月1日に廃止された。

2023.10.12 作成


 えきねっとリニューアル記念 Web限定「大人の休日パス(東日本スペシャル)」を利用して、2021年9月にこれまで訪れたことのなかった三陸海岸方面に三泊四日の旅行に出かけた。さらに、9/11 の会津若松発新津行きの「SLばんえつ物語」のグリーン席が確保できたので、新潟まで足を伸ばした。
 旅行初日に、東北新幹線、仙石東北ライン、石巻線、気仙沼線、気仙沼線BRT を乗り継いで気仙沼に到着した。気仙沼からは大船渡線BRT に乗車して大船渡で下車、大船渡駅近くに宿泊した。翌日、大船渡から盛まで大船渡線BRT 乗車した。盛では三陸鉄道リアス線に乗り換えた。今回の日程では大船渡とで宿泊することなく釜石もしくは宮古まで移動が出来たが、当初の計画では東日本大震災津波伝承館(奇跡の一本松)を見学予定だった。しかし、新型コロナウィルス感染対策のため臨時休館になっていたのが後からわかった。宿の手配をした後だったので、当初の予定通りに行動した。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、大船渡線の沿岸部で津波による大きな被害を受け、気仙沼-盛間が不通となった。膨大な復旧費用が掛かり、運行後も大幅な赤字が予想されるため、地元と協議の上バスによる転換ということになった。

  9/9
 JR東日本 / 気仙沼駅(宮城県気仙沼市) / 13:39 発車(ロータリー内仮バス停)

 気仙沼線BRT は、構内のBRT専用バス停(ホーム)に到着したが、盛行き大船渡線BRT は駅前ロータリーから発車すると案内があった。専用道路を横断して、駅舎を通り抜けて駅前ロータリーに向かった。
 気仙沼駅前の観光案内所前のバス停に、大船渡線BRT 乗り場の標識があった。時刻表は足下に置かれていて、分かりづらい乗り場だ。気仙沼線BRT でやって来た人の多くが乗り換えるのかと思ったが、乗り継いだのは4名だけだと思われる。ほとんどの観光客は市内観光に向かったのだろうか。
 車両は此所まで乗ってきた車両と同型で、同じ席が空いていたので左側の一番前に座った。気仙沼からの乗客は7名で、定刻に出発した。気仙沼線BRT はミヤコーバスに運行委託していたが、大船渡線BRT は岩手県交通に運行委託している。

 大船渡線BRT 普通 1337F / 気仙沼(13:39)発、(15:01)行き
 
JR東日本 Y537-13501 (岩手200 か 1801) / 日野 ブルーリボン LNG-HU8JMGP (2013年)

 本来、気仙沼-鹿折唐桑間は専用道で運行されるのだが、新駅設置工事のため 9/1~9/30 まで一般道(気仙沼街道・気仙沼唐桑線)へ迂回運転が行われている(新駅は内湾入口(八日町)駅で、2022年3月12日に開業した)。

 鹿折唐桑 / 13:43

 次のバス停(駅)は八幡大橋(東陵高校)で、国道45号・気仙沼バイパス上に設けられている。当駅は気仙沼市による請願駅で、同市内では初となる BRT の新駅で、2017年4月1日に開業した。

 八幡大橋(東陵高校) / 13:47

 八幡大橋(東陵高校)からはいったん南に下り、気仙沼鹿折IC から三陸縦貫自動車道に入る。2021年3月6日、三陸道(気仙沼港IC-唐桑半島IC)が開通するまでは、国道45号を北東に進み、現在の唐桑半島IC(三陸道と国道45号がクロスする地点)から唐桑小原木ICまでが三陸道区間となっていたが、本区間開通後の唐桑半島IC が仙台方面とのみ出入りできるハーフインターチェンジとなったため、経路変更が必要となった。

 八幡大橋→唐桑大沢 / 三陸縦貫道気仙沼鹿折IC(入口)

 三陸道は高速道路ではなく自動車専用道路で、国道45号線のバイパスの役割を持っている。気仙沼鹿折IC-唐桑小原木IC間二区間を走行するが、BRT の車両は座席にシートベルトがなく、立って乗車する場合もあることから、三陸道では時速60キロメートルを上限として走行していて、車両の前後にその旨の表示してある。

 八幡大橋→唐桑大沢 / 三陸縦貫道気唐桑小原木IC(出口)

 国道45号線に戻り唐桑大沢を過ぎると、まもなく県境で岩手県陸前高田市に入る。長部を過ぎるとバスは国道を離れ、高台に造られた新しい住宅地に向かう。

 長部→陸前今泉 / 宮城県・岩手県県境(国道45号)

 陸前今泉は東日本大震災の集団移転による今泉団地周辺の利便性向上を目的として一般道上に新しく設けられたので、元々鉄道駅があったわけではない。バスは気仙沼線BRT の志津川地区と同じように、市内の主要地区を回っていく。

 陸前今泉 / 12:38

 次のバス停は「奇跡の一本松」で、高田松原にあった松の高木が津波に耐えて一本残ったところだ。松は枯死後も保存されている。津波浸水域にあり、道の駅と東日本大震災津波伝承館を含め、付近一帯は高田松原津波復興祈念公園として整備されている。計画では此所での見学を考えていたが、新型コロナウィルス感染症対策として道の駅以外は閉鎖されているとのことだったのであきらめた。

 奇跡の一本松 / 12:42

 東日本大震災津波伝承館の隣に震災遺構として「旧・道の駅高田松原(タピック45)」が保存されている。建物は東日本大震災で 14メートルを超える津波により被災したが、津波の威力の凄まじさを後世に語り継ぐため、震災遺構として保存された。

 奇跡の一本松→陸前高田 / 旧道の駅高田松原(陸前高田市・震災遺構)

 陸前高田駅は東日本大震災からの復興事業において、陸前高田市が中心市街地に整備した交通広場に駅が設置されている。駅舎は震災前の駅舎を模して作られたもので、鉄道路線との接続がない BRT単独駅で唯一みどりの窓口が設置されている。震災前は業務委託駅だったが、BRT仮復旧後は盛駅から派遣される社員配置駅となり、現在はJR東日本東北総合サービスが駅業務を受託していて、駅員配置日が日・月・水・金曜の週4日だったが、2018年10月1日より毎日配置となった。
 震災後の BRT開業時には駅が陸前高田市役所仮庁舎前に設置された。2018年4月1日に、陸前高田市からの要望により同市の新中心市街地に移転した。これに伴って移転先付近にあったまちなか陸前高田駅が廃止され、代わって移転元付近に栃ヶ沢公園駅が新設された。9月に駅舎前に交通広場が整備され、BRTの乗降場が設置された。

 陸前高田 / 14:18

 この BRT は普通便なので遠回りをして高台にある高田高校前、高田病院に停車するが、快速便は通過する。ダイヤによると所要時間の違いは8分となっている。

 高田病院 / 14:24

 高田病院→脇ノ沢 / 陸前矢作行きとすれ違い

 主要公共施設が移転し住宅地の整備が行われているが、津波被害を受けた平野部低地はほとんどが工事作業中だ。道路も頻繁に付け替えが行われているようで、まだまだ復興には時間が掛かりそうだ。また、バス路線沿線にも震災遺構が残されていて、後世に津波の恐ろしさを伝えている。

 高田病院→脇ノ沢 / 下宿定住促進住宅(陸前高田市・震災遺構)

 高田病院から脇ノ沢にまっすぐ向かうアップルロードが開通していないので、一度県道38号線の下宿定住促進住宅前の交差点まで降りて、国道45号経由でアップルロードに向かった。

 脇ノ沢 / 14:34

 小友の少し手前から専用道に入るが、アップルロードを右折した先の左側に専用道の入口がある。そして、アップルロードの高架下をくぐる。

 西下→小友 / 西下側専用道入口

 小友駅で上り・気仙沼行きと交換した。ここには物理的な信号機が見当たらなかったが、別のシステムで待避などの管理をしているのだろうか。

 小友 / 14:42(上り 気仙沼行きと交換)

 小友のすぐ先で一般道に迂回する。専用道は終点の盛まで繋がっていてそこを走るのが本来のルートだが、大船渡市内の岩手県道230号線との交差点の拡幅工事のため、9/1~10/13間は小友-地ノ森間で一般道への迂回運転をしているとのことだ。

 小友→碁石海岸口 / 小友駅東側出入り口

 迂回の一般道として県道38号線を大船渡に向かうが、道路幅が大型路線バスが走るには狭い部分もある。また、大船渡市街地に近づくと交通量も増えるので、天候や時間帯によっては遅延が発生してしまうだろう。

 細浦(仮バス停) / 14:49(細浦漁港)

 BRT は大船渡駅のロータリー内のバス停に定刻に到着した。専用道路上の駅(バス停)が隣接していて、現在の乗り場がロータリー内のバス停だという旨音声で案内されている。
 立派なロータリーでタクシーの乗り場とバス停があり、大船渡市防災観光交流センターと大船渡プラザホテルが隣接している。新型コロナウィルス対策のため大船渡市防災観光交流センターは閉鎖中で、時間的なせいか人の姿は見えない。施設が立派なだけに、人の気配がないのに違和感がある。今日はそのホテルに宿泊した。

 JR東日本 / 大船渡駅(岩手県大船渡市) / 15:01 到着(ロータリー内仮バス停)

 旅行二日目、6:31発の盛行き初発大船渡線BRT に乗車するためホテルをチェックアウトする。外は天気予報の通り、素晴らしい青空が広がっている。既にバス停で待っていた高校生は、6:21発の陸前矢作行きの BRT に乗車した。その後、岩手県交通の盛岡行きのバスが隣のバス停に入線して、乗客を1人乗せて 6:30 に出発した。

  9/10
 JR東日本 / 大船渡駅(岩手県大船渡市)
   / 6:31 (定刻 6:31) 発車(ロータリー内仮バス停)

 定刻の 6:31 になってもバスがやってこないので少し心配になったが、2分遅れで BRT はやってきた。定刻では盛での乗り換え時間は9分あるので、この程度の遅れは問題ない。BRT には4人が乗車していた。

 大船渡線BRT 普通 1301F / 陸前矢作(5:30)発、(6:37)行き
 
JR東日本 Y537-12516 (岩手200 か 1766) / 日野 ブルーリボン LNG-HU8JMGP (2013年)

 地ノ森のすぐ南側で専用道に入り、盛では構内の専用バス停に到着した。三陸鉄道への乗り換えに専用道は横断できず、跨線橋を使って移動しなければならない。BRT から三陸鉄道に乗り換える乗客は他になく、釜石行きの三陸鉄道の乗客は私1人だった。

 JR東日本 / 盛駅(岩手県気仙沼市) / 6:39 (定刻 6:37) 到着

 2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な損害を受けた気仙沼-盛間については、気仙沼線BRT と同様に、膨大な復旧費用が掛かり運行後も大幅な赤字が予想されるため、JR東日本は鉄道による復旧は難しいとして、地元と協議の上バス(BRT)による転換ということになった。
 鉄道時代より運行本数は大幅に増え、バス停(駅)も増えたので、利便性は向上したと思われる。一方、所要時間は増えてしまったので、そのあたりをどう考えるのか。また、バス運転手の全国的な不足により、今後もこの本数が維持できるかは疑問が残る。しかし、よそ者が観光に来て乗車した感想で言えば、うまくいった事例ではないかと感じた。



大船渡線BRT 普通 1337F
2021.09.09 (平日) ダイヤ
大船渡線BRT 普通 1301F
2021.09.10 (平日) ダイヤ
発     着 発 
気仙沼 13:39 陸前矢作 5:30
鹿折唐桑 13:43 竹駒 5:36
八幡大橋(東陵高校) 13:47 栃ヶ沢公園 5:41
唐桑大沢 13:59 陸前高田 5:48
長部 14:04 高田高校前 5:51
陸前今泉 14:08 高田病院 5:54
奇跡の一本松 14:12 脇ノ沢 6:04
陸前高田 14:18 西下 6:06
高田高校前 14:21 小友 6:12
高田病院 14:24 碁石海岸口 6:16
脇ノ沢 14:34 細浦 6:19
西下 14:36 大船渡丸森 6:22
小友 14:42 下船渡 6:25
碁石海岸口 14:46 大船渡魚市場前 6:28
細浦 14:49 大船渡 6:31
大船渡丸森 14:52 池ノ森 6:33
下船渡 14:55 田茂山 6:34
大船渡魚市場前 14:58 6:37
大船渡 15:01     
池ノ森 15:03
田茂山 15:04
15:07



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