石勝線・根室本線、臨時列車・代行バス 乗車記
(釧路→札幌)

JR北海道 / 根室本線・石勝線・千歳線・函館本線

2016.11.27


乗車区間  釧路 8:23 → 帯広 9:57
 帯広 10:20 → トマム 11:27 (定刻 11:50)
 トマム 12:12 → 札幌 13:56
乗車列車  根室本線 臨時快速 9336D 釧路発、帯広行き
 列車代行バス 2便 帯広発、トマム行き
 石勝線/千歳線 臨時特急 9036D トマム発、札幌行き
車両  ○ JR北海道キハ283系気動車 (9336D)
    / キハ283-8+キハ282-3002+キハ282-2+キロ282-4+キハ283-4 (5両/札幌運転所)
 ○ 十勝バス 帯広230 い 1202 / 日野セレガ QPG-RU1ESBA (2012年登録)
 ○ JR北海道キハ261系気動車1000番台 (9036D)
   / ST-1206編成(2両)+キハ260-1320+キハ260-1303+ST-1106編成(2両)(6両/札幌運転所)

「石勝線・根室本線、臨時列車・代行バス」について
 2016年8月31日の台風10号による降雨災害の影響で、JR北海道管内各所で大きな被害が発生した。その中で、札幌(道央)と帯広・釧路(道東)を結ぶ石勝線と根室本線でも大きな被害があった。石勝線では新夕張-新得間が不通となり、根室本線では富良野-新得-音別間が運休となった。その後一部区間が復旧したが、石勝線のトマム-新得間と、根室本線の富良野-芽室間の復旧には時間が掛かる見込みとなった。
 9月8日、特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の代替として、札幌-トマム間に臨時特急3往復、トマム-帯広間に代行バス3往復(ノンストップ)、帯広-釧路間に臨時快速3往復の運転を開始した。さらに、10月1日からトマム-十勝清水-新得駅間の代行バスの運転を開始した。
 12月22日、上落合信号場-芽室間での復旧作業が完了し、特急「スーパーとかち」「スーパーおおぞら」や貨物列車と共に運転を再開。臨時特急・代行バス・臨時快速は21日限りで運行を終了した。

根室線 橋りょう流出・路盤流出に伴う臨時列車・代行バス時刻   発 
臨時快速
9336D  
釧路 8:23
白糠 8:42
浦幌 9:20
池田 9:39 9:40
帯広 9:57
代行バス 10:20
トマム 11:50
臨時特急
9036D
12:12
占冠 12:27
新夕張 12:49
追分 13:12
南千歳 13:23 13:24
新札幌 13:47
札幌 13:56

2023.8.27 作成


 大人の休日倶楽部パス(東日本・北海道)を利用して、2016年11月に北海道旅行に出かけた。旅行の1番の目的は、3月に開通した北海道新幹線に乗車することで、次いで、8月の台風の影響で不通になった根室本線の代行バス(帯広-トマム間)に乗車することだ。そのほか、未乗車となっていた根室本線の釧路-根室間と、来月4日をもって運行を終了する、留萌本線の留萌-増毛間にも乗車した。
 釧路市内に宿泊した旅行四日目に、運休中の「スーパーおおぞら」の代替ルートとして運行されている、臨時快速、代行バス、臨時特急を乗り継いで札幌まで向かった。8月の台風10号の影響で、根室本線の東鹿越-芽室間と石勝線の新得-トマム間が不通となっていた。復旧の目処が立っていなかったので、9月8日から「スーパーおおぞら・スーパーとかち」の代替として、釧路-帯広間が臨時快速、帯広-トマム間が代行バス、トマム-札幌間が臨時特急として運行されていた。一日三往復設定されていて、これらを乗り継いで釧路-札幌間を移動することになる。災害の被害に便乗するようで申し訳ないが、通常は乗車することの無いルートで移動できるのを見逃す手は無かった。

 JR北海道 / 釧路駅(北海道釧路市) / 8:23 発車

 帯広行きの臨時快速 9336D は特急車両のキハ283系5両編成で、「スーパーおおぞら」の編成を短縮したものだ。普通車4両はすべて自由席で、グリーン車1両は指定席だが指定席グリーン券は車内で車掌が販売する。車両運用の関係で5,4号車は自由席座席、3,1号車はグレードアップ指定席座席となっている。座席の快適性が格段に違うので、グレードアップ指定席に座る必要がある。
 駅には発車30分以上前に到着したが、9336D は既に1番線に入線していて、扉は既に開かれていて乗車できた。休日なのでどのくらいの乗客があるかと思ったが、釧路では4~5割程度の乗車率だった。運行当初は6両編成で運行されていたようだが、乗車率が振るわないため1両短縮されてしまったようだ。

 臨時快速 9336D 釧路(8:23)発、帯広(9:57)行き
 
JR北海道キハ283系気動車 / キハ283-8+キハ282-3002+キハ282-2+キロ282-4+キハ283-4 (5両/札幌運転所)

 臨時快速は「スーパーおおぞら4号」のダイヤで運行されたが、「スーパーおおぞら4号」は停車しない白糠、浦幌にも停車した。しかし、途中駅での乗客は数えるほどしかいなかったようだ。

 白糠駅 / 8:42

 釧路-札幌間を今回のルートで利用すると、料金は 8,060円で、所要時間は5時間33分(乗り換え、待ち時間を含む)となる。他方、都市間高速バス(スターライト釧路号)を利用すると、料金は 5,770円で、所要時間は5時間20分だ。代替ルートは一日三往復設定されているが、スターライト号の昼行便は4往復、釧路特急ニュースター号の昼行便は3往復設定されていた。これでは勝負にならないだろう。札幌と釧路を直接行き来する乗客は、バスを利用すると思われた。

 車窓 / 太平洋(古瀬(2020.3.14廃止) → 音別)

 浦幌駅 / 9:20
 

 池田駅 / 9:39~40
 

 帯広が近づいてくると、代行バスへの乗り換えについてのアナウンスがあった。改札を出て係員の指示に従うようにアナウンスしているが、バスは全員が着席できることを強調している。乗り換え時に起こる可能性のあるトラブルを心配してのことだろうが、この乗車率を考えると今回は問題ないだろう。

 JR北海道 / 帯広駅(北海道帯広市) / 9:57 到着(乗り換え)10:20 発車
 
 

 帯広駅の改札外側に案内板を持った職員が立っていた。その先も案内に従って南口を出ると、ロータリーに大型貸切バスが3台並んでいた。十勝バス2台、拓殖バス1台だ。どの車両に乗車してもかまわないようなので、まだ乗客の乗っていない2号車に荷物をトランクに預けて乗り込む。もちろん、最前列のドア側の席を確保した。現行型のセレガで、まだ新しそうな感じの車両だ。
 時間が経つにつれぱらぱら乗客が乗ってきたが、最終的に半分程度の乗車率だった。発車10分前くらいに4号車が到着して、1号車は信号機の先まで移動して1台分ずつ移動した。

 JR列車代行バス 2便 (2号車) 帯広(10:20)発、トマム(11:50)行き
 
十勝バス 帯広230 い 1202 / 日野セレガ QPG-RU1ESBA (2012年登録)
 
 

 バスは定刻に出発したが、ここまで乗車券チェックは行われていない。帯広駅南口を出て公園大通を直進、西4南14を右折して青葉通へ出る。続いて西5南12を右折して公園通に出て、根室本線ガードをくぐり直進する。しばらく直進して西5南1を左折して国道38号線に出でる。道路上の積雪も、国道に出ると雪は溶けている。
 国道38号線は、西12北1を右折して、鈴蘭新通に入る。あとはひたすら鈴蘭新通を北上して、国道241号線にぶつかったら右折、道東道をくぐるとすぐ左手が音更帯広インターだ。

 音更帯広ICより道東道に
 

 道東道は路肩には積雪があるが、道路上は濡れているだけだ。走行には何も問題は無いが、50㎞の速度制限がされている。
 道東道に入ってしばらくして、トマム駅からの下り代行バスとすれ違った。札幌ナンバーのJR北海道バスが5台、その他が4台の合計9台だった。先頭4台はぱらぱら乗客が乗っていたが、5台目以降は乗客はいないようだった。臨時特急が満席の場合これだけのバスが必要になるのだろうが、乗客の数は事前につかめないのでバスの手配は大変だ。

 トマム駅からの代行バスとすれ違い

 帯広JCT 直進

 芽室IC 直進

 十勝平原サービスエリアあたりから路肩の積雪も消え、道路も乾きかかってきた。十勝清水インターまではラリー・ジャパン観戦の時に利用したことがあるが、当時の道東道は十勝清水-夕張間は未開通だった。

 十勝清水IC 直進

 十勝清水インターから先は初走行区間となる。国道274号線(日勝峠)が同じ台風10号の影響で通行止めになっているので、十勝清水-占冠間だけを利用する場合は通行料無料の措置がされている。
 トマムに向けて坂を上っていくと、空が厚い雲に覆われ雪が降ってきた。そして、広内トンネルを抜けると雪国に舞い戻ってしまった。ここは無料措置がとられている区間だが、考えているより交通量が少ない。

 狩勝第2トンネル

 初走行区間は一区間で、トマムインターで道東道を降りる。トマムという場所は、30年以上前に何も無い占冠村の一角にアルファリゾート・トマムというスキーリゾートを開発した。スキーにはまっていた若い時だったので非常に魅力を感じたが、当時は北海道までスキーに行くことはできなかった。今思えばバブル真っ盛りの時代の発想で作られ、当然のことながらバブル崩壊と共に経営破綻してしまった。いろいろあったあと、今は星野リゾートが経営を引き継ぎ、一応なんとかやっているようだ。しかし、個人的には昔のような関心は全くない。

 トマムICより一般道に

 トマムは、トマム・リゾートの他何も無い場所で、雪国中の田舎道をトマム駅に向かって走る。しばらく正面に見えた二棟並ぶ高層ホテルの「ザ・タワー」の姿は道路沿線と比べると非常に違和感がある。

 道道136号線(正面はトマム・リゾート)

 道路はずっと順調で、定刻より23分前にトマム駅に到着した。道路状況に左右されるバスなので、これくらいの時間の余裕は持っておかなければならないのだろう。これからの降雪の季節になればなおさらのことだ。
 帯広からの一時間あまりのバスの旅は非常に楽しめた。北海道は「大人の休日倶楽部パス」を利用することが多いので、都市間高速バスなどを利用する機会はほとんど無い。しかも、最前列を確保できたので、車窓を堪能することが出来た。ラリー・ジャパンで4年連続十勝地方を訪れていたので、懐かしい風景がいくつもあった。

 トマム駅に到着 / 11:27 (定刻 11:50)

 トマム駅では駅舎内の改札は利用されず、外側にある改札が利用された。階段下までバスをバックでつけ、JR職員により札幌行き臨時特急の車内に案内された。帯広駅でもこの駅でも細かな誘導はされなかったので、混雑するような状況ではトラブルが起こる可能性も心配される。また、この駅でも乗車券の確認は行われなかった。
 間もなくして貸切バスが1台(つたいバス)到着したが、これが新得からの代行バスかどうかは確認できなかった。また、11:50頃トマム・リゾートからの送迎バス2台が到着した。こちらには結構乗客が乗っていて驚いた。

 JR北海道 / トマム駅 (北海道勇払郡占冠村) / 11:27 到着(乗り換え)12:12 発車

 札幌行きの臨時特急 9036D はキハ261系1000番台 6両編成で、「スーパーとかち」の編成を増結したものだ。普通車5両はすべて自由席で、グリーン車は1両で指定席グリーン券を車内で車掌から購入するのは臨時快速と同じだ。普通車の座席はすべてグレードアップ指定席の座席だった。
 代行バスが順調だったので、トマムでの乗り換え時間は45分あった。何も無い場所で何もすることが無かったので時間をもてあましたが、接続ダイヤのため仕方が無いことだろう。代行バスが遅延した場合この臨時特急もバスに接続して遅発となる旨、バス発車時に案内があった。最終的な乗客の数は、普通席で半分くらいだったと思われる。こちらの列車も運行当初は7両編成だったが、臨時快速と同じ理由で1両減車となったようだ。

 臨時特急 9036D トマム(12:12)発、札幌(13:56)行き
 
JR北海道キハ281系気動車1000番台
   / ST-1206編成(2両)+キハ260-1320+キハ260-1303+ST-1106編成(2両)(6両/札幌運転所)
 
 
 

 臨時特急は「スーパーとかち6号」のダイヤで運行され、停車駅も時刻も全く同じだ。「スーパーおおぞら4号」のダイヤで釧路を出発して「スーパーとかち6号」のダイヤで札幌到着となるので、本来の「スーパーおおぞら4号」を乗り通すのに比べて所要時間が1時間半長くなる。途中に代行バスを挟むので仕方が無い。

 車窓 / 道東道(トマム → 占冠)

 帯広-札幌間の今回の所要時間は 3時間36分で料金は 6,120円。一方都市間高速バスだと所要時間は3時間20分~45分で料金は 3,770円。しかも、都市間高速バスは10往復設定されている。これでは、やはりこの区間でもバスに太刀打ちできない。

 車窓 / 新千歳空港からの離陸便(追分 → 南千歳)

 追分を過ぎると空は明るくなって、青空も見えるようになってきた。南千歳では降車する人も多く、函館方面や新千歳空港に乗り継ぐ乗客はこのルートを選択するのだろう。しかし、それ以外の途中駅での乗客は数えるほどしかいなかった。

 JR北海道 / 札幌駅(北海道札幌市) / 13:56 到着

 代行バスを挟んだ運行は当面の間の措置だが、復旧までに四ヶ月近くの時間を要した。(12月22日に「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」運転再開。)この三往復が代替輸送として確保できた精一杯のものだったのだろう。後から調べると、JR北海道から他の交通機関への利用の検討を促すアナウンスがされていたようだ。実際に乗客の多くは都市間バスに流れていたと思われるが、バスは1台当たりの輸送力が小さいのがネックとなった。不便を被っている人達には申し訳ないが、趣味的には良い体験をすることが出来た。



トップへ
戻る




inserted by FC2 system