「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」の旅
樽見鉄道、明知鉄道、長良川鉄道 乗車 & 郡上八幡城 見学
2024.7.14~15

その1/2
樽見鉄道、明知鉄道 乗車
2024.7.14


 ルート  7/14 (日)
  藤枝~豊橋~大垣~樽見~大垣~名古屋~恵那~明智~恵那~多治見~美濃太田
 宿 泊  ホテルルートイン美濃加茂 (美濃加茂市)


7/14(日) 雨時々曇

 「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」を使って東海地区の第三セクター私鉄に乗車する計画を立てた。「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、その名の通り、JR東海の在来線全線と、東海地方のおもな地方私鉄 16線が乗り放題になるきっぷだ。また、東海道新幹線「こだま」「ひかり」の熱海-米原間については、特急券を購入することにより 4回まで乗車出来る。土休日に利用でき、2日間有効でおとな料金は 8,620円という設定。このきっぷは、JR線内だけの単純な往復利用では元が取りにくく、鉄道(私鉄)を乗り歩くことを目的としたきっぷといえ、鉄道ファンを明確なターゲットにしたフリーきっぷだ。
 せっかく 16私鉄に乗車出来るきっぷなので、いつかは乗車したいと考えていた私鉄に乗車する計画とした。乗車したいと考えていたのは、国鉄や JR から経営が切り離された赤字ローカル線(特定地方交通線)を引き継いだ第三セクター鉄道だ。初日は樽見鉄道〔樽見線)と明知鉄道(明知線)に往復乗車して、美濃太田駅付近に宿泊する。そして二日目は、長良川鉄道(越美南線)に往復乗車して、愛知環状鉄道(愛知環状鉄道線)、天竜浜名湖鉄道(天竜浜名湖線)経由で帰ることにした。

JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ

 あいにくの曇り空でこの後雨が予報されているが、天気の方は仕方が無い。20日からは「青春18きっぷ」の利用期間となり列車の混雑が予想されるので、今回の旅行の先延ばしはしなかった。西に向かう場合最寄り駅は藤枝駅となるので、車で藤枝駅に向かい駅近くのコインパーキングに駐車した。二日間の駐車になるので、料金の安いコインパーキングを探しておいた。藤枝駅近くには時間貸しの駐車場が多いので、早朝なら駐車の心配は無い。
 事前に「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」を購入する時間が無かったので、当日購入しなければならなかった。藤枝駅の窓口は 5:10 から開いているので問題ないが、万一先客がいると困るので早めに窓口に向かった。日曜日の早朝なので人影はまばらで、窓口にも先客はいなかった。無事窓口で切符を購入できたが、確認しなかったが指定席券売機では購入できないようだ。

 藤枝駅 / JR東海・東海道本線(静岡県藤枝市)

 改札で使用開始のスタンプを押してもらい、電車の時間には早いがホームに降りる。「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は自動改札機を通れないので注意が必要だ。「青春18きっぷ」もそうだが、この点が非常に不便だ。

 JR東海/東海道本線 普通 3109F 藤枝 5:47 → 豊橋 7:17

 東海道本線 普通 3109F 静岡発、岐阜行き

 JR東海313系電車0番台
 Y-1編成(4両/大垣車両区)


 岐阜行き 3109F は 313系0番台・四両編成で、大垣車両区所属の転換クロスシート車両だ。東海道本線を走る静岡車両区の 313系はほとんどがロングシートなので、この車両は非常にありがたい。乗車時間が長いときは、転換クロスシートの車両が快適だ。日曜日の早朝の電車だが、乗車した先頭車両は3割程度の座席が埋まっている。来週になり青春18きっぷの利用期間に入ると、乗客が増加するのかもしれない。

 西に向かうにつれだんだん乗客が増えていき、浜松では多くの乗客の入替があり、7,8割の座席が埋まった。乗車している 3109F は岐阜行きだが、普通なので後から豊橋を発車する特別快速に追い抜かれる。そのため豊橋で大垣行き特別快速 5105F に乗り換える。豊橋では多くの乗客が電車を降りたが、特別快速に乗り換える乗客はそんなに多くは無かった。

 JR東海/東海道本線 特別快速 5105F 豊橋 7:24 → 大垣 8:50

 東海道本線 特別快速 5105F 豊橋発、大垣行き

 JR東海313系電車0番台 / Y-3編成(4両)
           + 313系4両(大垣車両区)


 大垣行き特別快速 5105F は 313系八両編成(四両+四両)で、乗車した先頭車は先ほどと同じ 0番台だった。車内は半分くらいの座席が埋まり、豊橋を出発した。

 名古屋に近づくにつれ乗客は増えていき、座席はほとんど埋まってしまい立っている乗客も少なくない。その乗客のほとんどは名古屋で下車し、車内はがらがらとなった。その先終点の大垣までは空いたままだった。静岡地区の東海道本線は普通(各駅停車)ばかりなので移動に時間が掛かるが、名古屋地区(豊橋-大垣間)は快速(新快速、特別快速)が日中でも 15分間隔で運転されているので非常に便利だ。おまけに、基本的に転換クロスシートの車両なので快適だ。
 大垣で最初の私鉄、樽見鉄道に乗り換える。樽見鉄道には専用の駅舎は無く、JR東海の駅に間借りしているような形になっている。6,7番線が樽見線ホームで、改札は JR と供用だ。また、樽見線ホームに切符売り場があるが、中間改札などは無い。

 大垣駅 / JR東海・東海道本線、樽見鉄道・樽見線(岐阜県大垣市)

 樽見線は、岐阜県大垣市の大垣駅から岐阜県本巣市の樽見駅に至る樽見鉄道の鉄道路線。全線単線非電化で、営業距離は 34.5㎞。大垣-神海間は国鉄の特定地方交通線(樽見線)を転換(神海駅は国鉄時代は「美濃神海」と呼称)、神海-樽見間は日本鉄道建設公団建設線だった路線。国鉄時代は神海駅までの開業にとどまり以北の建設は凍結されたが、樽見駅までは7割ほど完成していたことから転換後に工事を再開し延伸開業した。
 樽見鉄道は、西濃鉄道・住友大阪セメントおよび沿線自治体などが出資する第三セクター方式の鉄道会社で、本社は岐阜県本巣市に所在する。第三セクター会社ではあるが、住友大阪セメント岐阜工場の製品輸送を行っていたことから、西濃鉄道・住友大阪セメントが2社あわせて出資比率7割を超える大株主となっている。
 樽見鉄道のホームに行ってみると、まだ車両は入線していなかったが、10人くらいの人が列車を待っていた。乗車する樽見行き 13レ は、大垣着 12レ の折り返し運用で、定刻の 9:01 に入線をしてきた。車両はハイモ330-700形・一両で、降車終了後扉を一旦閉じたあとから乗車が始まった。

 樽見鉄道/樽見線 普通 13 大垣 9:11 → 樽見 10:14

 樽見鉄道/樽見線 普通 13 大垣発、樽見行き

 樽見鉄道ハイモ330-700形気動車
 ハイモ330-703


 そのうちにもぱらぱら乗客が集まり、大垣発車時には 44人となった。ロングシートはほとんどが埋まってしまった。鉄道ファンらしき人も散見されるが、ほとんどが一般の乗客のようだ。日曜日の朝の下り列車なのでもっと空いていると思っていたので、これには驚いた。

 大垣駅を東に向かって発車した列車はしばらくは東海道本線と並行して走る。東海道本線から離れるとすぐに東大垣駅だ。その先田園風景の中を走るが、駅周辺は住宅地となっている。大垣から六つ目の「モレラ岐阜」駅で、30人ほどの乗客がいっきに降りた。何でこんな所でと思い調べると、近くにモレラ岐阜という大型ショッピングセンターがあった。ほとんど全ての乗客はそちらの方に向かって歩いて行った。
 車内のポスターによると、本日 10時からモレラ岐阜で「もとまる商品券付きフリー乗車券」が発売されるとある。樽見鉄道の一日フリー乗車券(1,600円)と本巣市商工会加盟店でつかえる商品券 2,000円分をセットにして 1,600円で枚数限定で発売されるとある。降りた乗客がこの乗車券が目当てなのか、モレラ岐阜に向かう通常の乗客(従業員か利用者)なのかはわからない。
 織部駅までは田園地帯を走っているものの、織部駅を過ぎると根尾川の渓谷に沿って走っているようになる。四季折々の美しい景色を楽しむことができるロケーションで、それらの景色を楽しむためのイベント列車も運行されている。

車窓 / 根尾川(鍋原→日当)
停車 / 日当駅(10:03) 停車 / 水鳥駅(10:10)

 大垣から 1時間4分で終点樽見駅に到着した。ここまでの乗客は7人だった。1人を除いて鉄道ファンのようだ。この場所は旧根尾村(現本巣市根尾樽見)の中心で、この鉄道の名前の由来となったところだ。ここまで樽見線が開通したのは、平成になった 1989年のことだった。初代駅舎は 2007年4月28日に発生した火災で全焼して、翌2008年4月、新しい駅舎「うすずみふれあいプラザ」が完成した。待合室と通路とイベントスペースを併せ持ったような建物で、純粋な駅舎とは言えないだろう。

 樽見駅 / 樽見鉄道・樽見線(岐阜県本巣市)

 大垣で降っていた雨はここでも降り続いている。乗客1人が迎えの車で去って行くと、広い駅前広場は静かになる。鉄道ファンが数名写真を撮っているだけだ。駅近くを歩いてみようとも思ったが、本降りの雨なのでやめた。

 樽見鉄道/樽見線 普通 18 樽見 10:33 → 大垣 11:36

 樽見鉄道/樽見線 普通 18 樽見発、大垣行き

 樽見鉄道ハイモ330-700形気動車
 ハイモ330-703


 折り返しの大垣行き 18レ の乗客は7人で、そのうち6人は折り返し乗車の鉄道ファンだ。樽見駅周辺には小規模ながら商店街があり住宅も点在しているが、一般の乗客が1人とは寂しい。

 国鉄樽見線時代の終点の神海駅までは新しく建設された区間なので、トンネルや鉄橋が多く比較的線形がいい。この区間の途中駅には列車交換設備がない。今年四月のダイヤ改正により減便となり、大垣発、神海折り返しの運用が無くなった。そのため、今秋から駅構内の縮小・単線化工事を行い単式ホーム1面1線に減る予定となっている。
 次の谷汲口駅は谷汲山華厳寺最寄りの駅で、華厳寺まで町営バスが運行されている。西国三十三所第33番札所で、桜や紅葉の名所としても知られ多くの観光客で賑わうそうだ。次回樽見鉄道を訪れる機会があれば、華厳寺には立ち寄りたい。

停車 / 神海駅(10:50~51) 停車 / 谷汲口駅(10:51~52)

 樽見鉄道は根尾川沿いにあり、根尾川には第一根尾川橋梁から第十根尾川橋梁の 10箇所橋梁がある。第一根尾川橋梁は一番下流に架設されている。橋梁の一部(6・7連)は、かつての木曽川に架けられていた東海道本線木曽川橋梁を再利用したもので、明治時代の橋梁が現存しているが、トラス部分の銘板は転用後の国鉄のものとなっている。

車窓 / 第一根尾川橋りょう(谷汲口→木知原) 車窓 / 根尾川(木知原→織部)

 織部駅は樽見線の平野部と山間部との境界に位置していて、道の駅織部の里もとす開設をきっかけに 2002年4月に新設された。

 駅名は本巣町域が生誕地とされる安土桃山時代の武将・茶人の古田織部(古田重然)にちんでいる。付近には法林寺此奥古墳群や山口城主居館跡、山口の条理跡などの遺跡が点在している。
 駅自体は単式ホーム 1面1線の無人駅で、駅舎や自動券売機などはないが、道の駅織部の里もとすが隣接している。また、桜ダイヤ期間中は普通乗車券を所持していれば、当駅で途中下車ができる。



停車 / 織部駅(11:02)

 次の本巣駅は、樽見鉄道の途中駅では唯一の有人駅で、島式ホーム 1面2線を有する列車交換可能な駅。駅構内に樽見鉄道本社と車両基地(本巣機関区)が併設されている。朝夕を中心に、当駅が始発、終着の列車が多く設定されている。
 以前は当駅北方に専用線が接続し、住友大阪セメント岐阜工場からのセメント発送が行われていたが、2006年3月28日限りで廃止された。なお、線路は既に撤去されている。その貨物輸送の収入が大きな割合を占めていたため、終了後の経営は非常に厳しく、2005年度より沿線5市町から財政支援を受けている。

停車 / 本巣駅(11:04~08)

 朝方どっと乗客が降りたモレラ岐阜駅は、都築紡績糸貫工場跡地に 2006年4月29日に開店した大型商業施設「モレラ岐阜」の最寄駅として、同年4月21日に新設した。経営状態の厳しい樽見鉄道にとっては、「モレラ岐阜」利用の乗客は大きな収入源となっているようだ。

 岐阜ののどかな風景の中を走る樽見鉄道。特定地方交通線を引き継いだ第三セクター鉄道なので、経営的には厳しい状態が続いている。沿線自治体からの補助金支援を受けながら運行が続けられている。沿線には淡墨桜(樽見駅)や谷汲山華厳寺(谷汲口駅)等の観光地があり、鉄道会社の営業努力も感じられる。他の三セクの鉄道と同様に黒字転換は難しいと思うが、こうした鉄道は是非とも走り続けてもらいたいものだ。



停車 / モレラ岐阜駅(11:14)

 樽見鉄道は全ての駅で車内で料金の収受が行われているので、大垣駅では降車駅証明(磁気対応券)が配られて自動改札機が利用できるようになっている。
 大垣では 50分の乗り換え時間をとってあり、駅ビル内で昼食を考えていた。あれこれ見て回ったが、蕎麦を食べることにした。鶏天丼定食というざるそばと小鶏天丼のセットを注文した。味の方はごく普通で、蕎麦の方も十分い満足のいくものだった。

大垣駅到着(11:36) 鶏天丼定食 / おらが蕎麦 大垣アスティ店

 樽見線を完乗し、おなかを満たして東海道本線のホームに向かう。このあとは、明知鉄道に乗車するため、名古屋経由で恵那に向かう。
 豊橋行き快速 5512F は 313系八両編成だが、乗車した先頭車は 5000番台六両編成だった。車端間ヨーダンパやセミアクティブサスペンションを搭載していて、0番台より乗り心地が向上していると思われる。

 JR東海/東海道本線 快速 5512F 大垣 12:26 → 名古屋 12:59

 東海道本線 快速 5512F 大垣発、豊橋行き

 JR東海313系電車5000番台 / Y-103編成(6両)
            + 313系2両(大垣車両区)

 また、転換クロスシートだが、0番台ではドア付近が固定式座席だったが、5000番台では全ての座席を転換可能として進行方向に着座できるようになった。JR他社の一般形車両と比較しても室内空間・設備と共にトップクラスといえるだろう(旧セントラルライナー用 8000番台は別格)。大垣始発なので車内はがらがらだ。

 名古屋駅で中央本線の下り電車に乗り換える。中津川行き区間快速 5915M は、初乗車となる 315系(八両編成)だ。315系電車は今朝岐阜行き普通電車の車内からでちらりと見かけたが、じっくり見るのが初めてだ。いかにも JR東海の車両といった感じで、JR東日本の新型車両とは違い新鮮な外観だ。中央本線(中央西線)の名古屋-中津川間は 315系で統一されていて、今春のダイヤ改正から最高速度 130km/h での営業運転が行われている。

 JR東海/中央本線 区間快速 5915M 名古屋 13:22 → 恵那 14:27

 中央本線 区間快速 5915M 名古屋発、中津川行き

 JR東海315系電車0番台
 C-10編成(8両/神領車両区)

 211系5000番台、213系や 311系の置き換えとして製造されていて、車内は全てロングシートだけだ。首都圏ではかなり前から導入されていたが、JR東海の普通列車用車両として初めて液晶ディスプレイの車内案内表示装置が導入された。車内はスッキリとして広々とした明るい感じで、JR東日本の E235系のような目新しさは無い。

 座席が半分くらいで名古屋を発車して、金山で八割くらいの座席が埋まった。その先はだんだん車内の乗客が減り、高蔵寺でがらがらとなった。新型車両は揺れも少なく、静かで快適だ。ロングシートの座席の座り心地も良く、1時間程度の乗車ではまるでストレスを感じない。
 中央本線の多治見から先は乗りつぶしとしては初乗車となる。大昔の記憶となるが、約半世紀前に、中央西線電化により 381系に置き換えられたばかりの「しなの」に乗車したことがある。その時は名古屋から松本まで乗車したと思う。

 恵那駅 / JR東海・中央本線(岐阜県恵那市)

 恵那駅では雨は上がっていた。JR東海の恵那駅の駅舎と明知鉄道の駅舎は並んでいて、改札内に JR と明知鉄道の連絡改札口がある。 乗り換え時間が 47分あるので、改札を出て恵那市観光物産館「えなてらす」等を見ながら時間をつぶした。

 恵那駅 / 明知鉄道・明知線(岐阜県恵那市)

 明知線は、岐阜県恵那市の恵那駅から明智駅に至る明知鉄道が経営する鉄道路線。全線単線非電化で、営業距離は 25.1㎞。旧国鉄の特定地方交通線を転換、引き継いだ路線。明知鉄道は、沿線自治体などが出資する第三セクター鉄道会社で、岐阜県恵那市に本社を置く。主要株主は、岐阜県 32.50%、恵那市 28.25%、中津川市 4.75% などとなっている。

 明知鉄道/明知線 普通 13D 恵那 15:14 → 明智 16:04

 明知鉄道/明知線 普通 13D 恵那発、明智行き

 明知鉄道アケチ100形気動車
 アケチ100-102

 明知鉄道のホームに行ってみると、オレンジ色の気動車が入線していた。明智行き 13D は、アケチ100-102 だった。午前中に乗車した樽見鉄道のハイモ330-700形とほぼ同じ仕様の気動車だ。恵那からの乗客は7人で、外人の観光客、鉄道ファン、地元の利用者などいろいろだ。

 単行の気動車は、恵那市街を抜けるとだんだん山の中へ入っていく。沿線は里山風景が美しく、田園がよく手入れがされている。恵那から二つ目の飯沼駅は急坂の途中に設けられていて、勾配 33‰ の「日本一急勾配の駅」として有名だそうだ。

車窓 / 岩村地区の集落(極楽→岩村)

 岩村駅は明知鉄道の途中駅では唯一列車交換可能駅で、同じく途中駅では唯一の有人駅となっている。外国人の旅行者はここで下車した。
 駅から岩村城跡へ続く本通り沿いには、旧家、商家、ナマコ壁。往事の面影を残す古い町並みが広がっている。平成10年4月17日には、全国で 48番目、岐阜県では高山市三町・白川村荻町に続いて3番目に「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されている。ラリージャパンのリエゾン区間となっていて、その町並みは映像で何度も見ている。機会があれば是非訪れたいところだ。

停車 / 岩村駅(15:44)

 二つ目の峠を越えると、終点の明智駅に到着する。ここまでの乗客は8人だ。駅近くには明知鉄道本社がある。駅周辺は旧明智町の中心市街地で、住民が大正時代の町並みを保存して観光資源として活用している「日本大正村」の玄関口。
 駅開業当初の駅名は、当時の所在地だった明知町に由来する「明知」だった。その後、明知町は 1954年7月1日に静波村と合併して明智町となった。それに伴い、1985年の第三セクター転換時に新町名に合わせて駅名を「明智」に改称した。旧町名の明知は古くは城名だが(明知城)、現在でも会社名(明知鉄道)や路線名(明知線)に使われている。新町名の「明智」は自治体としては 2004年の「平成の大合併」によって消滅して、現在は恵那市の市内町名となっている。

 明智駅 / 明知鉄道・明知線(岐阜県恵那市)

 明知線の折り返し時間が 43分あるので、近くの日本大正村を覗いてみようと考えていた。しかし、駅前のスーパーマーケットが目にとまったので、今晩の食料を調達しようと予定を変更した。今日宿泊する美濃太田駅付近にはコンビニが一軒しかないので、ここで弁当か総菜をと考えた。
 買い物を済ませて駅に戻ろうとすると、外は雨が降り出していた。まだ少し時間があったが、明智駅に戻り早めに列車に乗車した。

 明知鉄道/明知線 普通 18D 明智 16:47 → 恵那 17:37

 明知鉄道/明知線 普通 18D 明智発、恵那行き

 明知鉄道アケチ100形気動車
 アケチ100-102

 乗客は全部で5人だったが、内1人の年輩の女性は 13D で一緒で、同じスーパーで買い物をして戻ってきた人だ。わざわざ明知鉄道に乗車して買い物に来たのだろうか。また、運転手と知り合いらしく、何か話していた。

 恵那への復路は雨が降っていて少し暗くなってきたので、車窓を楽しむことが出来なかった。50分で恵那駅に到着、乗客は 10人だった。明知線は基本的にワンマン運転で車内で料金の収受が行われるようだが、恵那駅だけは全てのドアが開いて、駅員が料金を受け取っていた。私は JR線に乗り換えなので、駅員にきっぷを見せて乗り換え改札を通った。

 JR東海/中央本線 快速 5724M 恵那 17:48 → 多治見 18:17

 中央本線 快速 5724M 中津川発、名古屋行き

 JR東海315系電車0番台
 C-1編成(8両/神領車両区)

 名古屋行き快速 5724M は行きと同じ 315系八両編成だった。乗車した先頭車両はがらがらで、乗客は5人だけだった。

 多治見まで戻り、太多線に乗り換えて、今日の宿がある美濃太田まで行く。美濃太田行き 651C はキハ75形二両編成だった。キハ75形は元々は快速「みえ」用に製造されたもので、車内は転換式クロスシートで快適だ。乗車したのは 3200,3300番台だったが、これは 200,300番台にワンマン対応・耐寒設備などの改造を施したものだ。

 JR東海/太多線 普通 651C 多治見 18:31 → 美濃太田 19:06

 太多線 普通 651C 多治見発、美濃太田行き

 JR東海キハ75形気動車3200,3300番台
 3307+3207(美濃太田車両区)

 乗車した先頭車両は半分くらいの座席が埋まった。二両編成で、ワンマン運転が行われている。地方のワンマン運転ではよく見られるが、先頭車両の後ろ扉が乗車口だというのを知らない乗客がいた。降りる乗客がいる場合そのまま前扉から乗車するが、前扉が開いていない場合、この列車の場合わざわざ前扉を開けて乗車させていた。

 太多線は初乗車だったが、外は既に暗かったので外の様子はわからなかった。美濃太田駅も初めて利用する。以前、高山本線を走るキハ40系を美濃太田駅付近で撮影して、駅近くのホテルに宿泊したことがあったが、その時は多治見からレンタカーを利用したので太多線も美濃太田駅も利用していない。

 美濃太田駅 / JR東海・高山本線、太多線、長良川鉄道・越美南線(岐阜県美濃加茂市)

 旅行初日は雨にたたられたが、計画通りに乗車することが出来た。樽見線も明知線も魅力的な鉄道で、また是非乗りに訪れたい。その時は今回のように駆け足では無く、ゆっくり沿線の観光もしたい。どちらの鉄道も、多くの自然や歴史遺産に恵まれている。また、経営状態の厳しい鉄道をなんとか残そうとしているのが感じられる。



移動の記録

(7/14)
藤枝 5:47 → 豊橋 7:17      東海道本線 普通 3109F
豊橋 7:24 → 大垣 8:50      東海道本線 特別快速 5105F
大垣 9;11 → 樽見 10:14     樽見鉄道樽見線 13
樽見 10:33 → 大垣 11:36    樽見鉄道樽見線 18
大垣 12:26 → 名古屋 12:59   東海道本線 快速 5512F
名古屋 13:22 → 恵那 14:27   中央本線 区間快速 5915M
恵那 15:14 → 明智 16:04    明知鉄道明知線 13D
明智 16:47 → 恵那 17:37    明知鉄道明知線 18D
恵那 17:48 → 多治見 18:17   中央本線 快速 5724M
多治見 18:31 → 美濃太田 19:06 太多線 普通 651C

《ホテルルートイン美濃加茂》泊


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