JR北海道/日高本線(苫小牧-鵡川) 乗車記

2022.7.7


乗車区間  苫小牧 7:52 → 鵡川 8:20 (2223D)
 鵡川 8:21 → 苫小牧 8:59 (2224D)
乗車列車  普通 2223D 苫小牧発、鵡川行き
 普通 2224D 鵡川発、苫小牧行き
車両  国鉄キハ40形気動車1700番台 / 1706+1783(2両/苫小牧運転所)(1633D)
 国鉄キハ40形気動車1700番台 / 1783+1706(2両/苫小牧運転所)(1634D)

日高本線・路線図

日高本線について
 日高本線は、北海道苫小牧市の苫小牧駅から勇払郡むかわ町の鵡川駅を結ぶ JR北海道の地方交通線。以前は様似郡様似町の様似駅までの 146.5 kmの路線だったが、全線の約8割 (116 km) にあたる鵡川駅以南は、2015年1月に発生した高波で線路が被災して運休となり、以降復旧することなく 2021年4月1日に鉄道事業が廃止され、正式にバス転換された。
 JR北海道が 2016年11月18日に公表した、単独での維持を困難とする10路線13区間の中に含まれている。輸送密度200人以上2,000人未満の線区に分類され、JR単独では老朽土木構造物の更新など「安全な鉄道サービス」を持続的に維持するための費用を確保できないとしている。2014年度(災害運休のため2015年度の実績は公表されていない)の輸送密度は、589人となっている。
営業距離  苫小牧-鵡川 30.5㎞ 電化・非電化   全区間非電化
2014年度輸送密度  苫小牧-鵡川 589人 単線・複線   全区間単線

2023.6.6 作成


 「北海道 & 東日本パス」を利用して、JR北海道の未乗車区間に乗車する四泊五日の旅に出かけた。JR北海道の未乗車区間は、室蘭本線(東室蘭-室蘭)、同(追分-岩見沢)、日高本線(苫小牧-鵡川)、根室本線(滝川-富良野)、同(東鹿越-新得)、宗谷本線(北永山-稚内)だ。このうち東鹿越-新得間は災害により運休中なので乗車はできない(2024年4月1日の廃止が決まった)。
 JR東日本管内では、未乗車の大船渡線と釜石線に乗車して、昨年の東北旅行の時には休館中だった陸前高田の東日本大震災津波伝承館に立ち寄った。そして、北海道に渡るのには、八戸-苫小牧間のシルバーフェリーの夜行便を利用した。
 夜行便のシルバーフェリーで苫小牧に上陸した旅行三日目に、苫小牧からは初乗車となる日高本線に乗車して、鵡川まで往復した。日高本線と言えば、2014年に7泊8日の北海道(鉄道)旅行をしたとき、旅行五日目に日高本線に乗車して様似を往復しようと考えた。しかし、いろいろ事情があって別の行動をしたが、そのことが今でも悔やまれる。その時はまた別の機会に乗車すればいいと軽く考えていたが、その翌年1月に高波の被害で鵡川-様似間が不通となった。その後代行バスが運行されていたが復旧されることなく、2021年4月1日付で正式に廃止となってしまった。結局、その区間は乗車することができなくなってしまった。

 JR北海道 / 苫小牧駅(北海道苫小牧市) / 7:52 発車

 苫小牧発鵡川行き普通 2223D はキハ40形二両編成で、多くの学生等を乗せてきた 222D の折り返しだ。前寄りはラッピング車両で「むかわ竜復興トレイン」だ。新型車両 H100形の導入が進んでいるが、日高本線はキハ150形もなくキハ40形だけが運用されている。約150両あった JR北海道のキハ40形も約半数が H100形に置き換えられてしまった。

 日高本線 普通 2223D 苫小牧(7:52)発、鵡川(8:20)行き
 
国鉄キハ40形気動車1700番台 / 1706 + 1783(2両/JR北海道/苫小牧運転所)

 二両編成の二両目に乗車、乗客は約10人だった。苫小牧を発車した列車は苫小牧貨物ターミナルを過ぎると、室蘭本線を左手に分ける。最初の停車駅は勇払で、この駅では数人が下車した。

 勇払駅(北海道苫小牧市) / 8:03

 勇払から浜厚真までは勇払原野の中を走り、殺風景な風景が広がっている。苫小牧の市街地からすぐの所にこんな原野が広がっているとは、さすが北海道だ。浜厚真駅では乗降はなかったようだ。

 浜厚真駅(北海道勇払郡厚真町) / 8:13

 この列車は普通だが、浜田浦は通過する。浜田浦駅については、2021年7月に JR北海道からむかわ町に対し当駅を廃止する意向が通知されている。現在、住民説明会が行われているようだが、廃止の方向で話が進んでいるようだ。(その後、2023年3月18日のダイヤ改正に併せて廃止になった。)
 終点の鵡川には28分で到着した。折り返し時間は11分なので、あまりゆっくりはしていられない。同業者と思われる人が数人、私と同じように駅舎や付近の写真を撮っている。転換バスはほとんどが日高本線と接続していないので、この時間はバスの便はない。

 JR北海道 / 鵡川駅(北海道勇払郡むかわ町)/ 8:20 到着(折り返し)8:31 発車

 折り返しの 2224D には地元の人10人あまりと、折り返しの乗客を乗せて出発した。この列車も隣の浜田浦駅は通過する。

 日高本線 普通 2224D 鵡川(8:31)発、苫小牧(8:59)行き
 
国鉄キハ40形気動車1700番台 / 1783 + 1706(2両/JR北海道/苫小牧運転所)

 復路の車内はがらがらだったので、窓を少し開けて車窓を楽しんだ。このキハ40 の窓はとてもきれいとはいえない。7月とはいえ北海道なので暑くはない。窓を開けると気持ちのいい風が入ってくる。

 浜厚真駅(北海道勇払郡厚真町) / 8:38

 浜厚真を出発すると、間もなく左手に大きな工場が見えてくる。地図で確認すると、北海道電力苫東厚真発電所のようだ。大規模な石炭火力発電所で、北海道内では一番出力が大きい。また、このすぐ近くに新日本海フェリーが発着する苫小牧東港があるはずだが、車内からは確認できなかった。

 車窓 / 北海道電力苫東厚真発電所(浜厚真→勇払)

 列車は人の気配のない勇払原野の中を進み、勇払川と合流した安平川を渡る。川の西側は人の住みエリアになっていて、間もなく勇払駅だ。

 車窓 / 安平川(勇払川)(浜厚真→勇払)

 勇払駅は小さな無人駅だが、構内はかなり広い。かつては多くの側線があり、山陽国策パルプ(現・日本製紙)の専用線が分岐していた。

 勇払駅(北海道苫小牧市) / 8:48

 殺風景な原野を抜け工場地帯に入ると、間もなく室蘭本線と合流する。その先は直線で、間もなく苫小牧に到着した。30分弱の乗車時間はあっという間だった。今更だが、様似まで乗車出来なかったことが悔やまれる。

 JR北海道 / 苫小牧駅(北海道苫小牧市) / 8:59 到着

 日高本線の残された区間に乗車してみて、なんとも中途半端な区間が残されたという印象だ。廃止区間の代替バスが走り始めた 2021年度より、苫小牧-鵡川間の輸送密度は 387人/日まで減少してる。これは、新型コロナウィルス拡大の影響だと思うが、代替バスが苫小牧まで直通するため、鵡川での乗り換え客が減少したことも一因と考えられる。
 鉄道の利用者を増やすには、鵡川で乗り換えするダイヤを組めばいいのかもしれないが、利用者からみれば「乗り換えなく苫小牧まで行ける」ことに代替バスの価値がある。北海道の鉄道の安易な廃止には反対だが、この区間については鉄道にこだわらない交通網の構築も検討すべきかもしれない。





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