「北海道 & 東日本パス」の旅
JR東日本・JR北海道線乗車、高田松原津波復興祈念公園見学
2022.7.5~9

その4/5
宗谷本線乗車
2022.7.8


 ルート  7/8 (晴)
  札幌~稚内~旭川
 宿 泊  スマイルホテル旭川 (旭川市 / 7/8)


7/8(金) 晴

 旅行四日目は宗谷本線に乗車する。札幌から「宗谷」に乗車して稚内まで行き、すぐ折り返しの「サロベツ4号」に乗車して旭川に戻る。そして、宿泊は旭川だ。今回の旅行の計画を立てる段階で、宗谷本線に乗車する行程で非常に苦労した。非常に長い路線で運行本数も少ないので、普通列車で往復するのは難しいと考えた。下り、上りともに1日2本(乗り換えが必要)の普通列車が設定されているが、日帰りの往復は不可能だ。また、稚内着19:49や稚内発5:21は避けたいので、乗るべき普通列車は決まってしまう。
 1番現実的だと考えたのは旭川6:03発の普通列車に乗車して2回乗り換え、稚内に到着は12:07。折り返しは稚内13:01発の特急「サロベツ4号」に乗車する行程だ。「北海道 & 東日本パス」では特急に乗車出来ないので、稚内から旭川までの特急券と乗車券が必要になる。自由席を利用した正規料金は8,360円もするが、えきねっとトクだ値50が設定されていて4,440円で乗車することができる。
 しかし、このプランは取りやめ、ずるをして往復特急を利用することにした。旅行五日目でだいぶ疲れているので、ここは無理をしない方がいいと考えた。「北海道 & 東日本パス」には「北海道線特急オプション券」というものがあり、1日6,110円でJR北海道の特急自由席と、北海道新幹線に立席特急券(空いている席に座れることができる)として乗車出来る。往復を利用すれば決して高くない値段だ。しかし、自由席に限られるので始発から乗車したい。朝の下りは札幌発の「宗谷」なので、前日は札幌に宿泊した。
 早めに札幌駅に向かう予定が出発に手間取り、ホームに到着したのは「宗谷」発車の15分前の7:15だった。列車は入線していなかったが、すでに2つの自由席の乗車口にはどちらにも10人ほどの列ができていた。座ることは出来るだろうが、進行方向左手の窓側を確保できるかは微妙だ。「宗谷」は261系4両編成で、前3両が指定席(先頭車半室はグリーン車)で、後1両だけが自由席だ。

 JR北海道/函館本線/宗谷本線 特急「宗谷」 札幌 7:30 → 稚内 12:40

 函館本線/宗谷本線 特急「宗谷」 51D 札幌発、稚内行き

 JR北海道キハ261形気動車0番台
 SE-203編成(2両)+SE-104編成(2両)(苗穂運転所)


 「宗谷」は7:20頃に回送で苗穂方面から入線してきた。ドアが開いて順番に乗り込むが、なんとか左手窓側に座ることが出来た。待機列の乗客が乗り込んだ段階で座席は半分くらいが埋まったが、発車までにほぼ全ての座席が埋まった。

 宗谷本線には学生時代の北海道旅行の時、急行「利尻」で札幌-稚内間を往復したことがある。往復ともに狭い10系寝台の中だったので、大昔のこともあってその時の記憶は全くない。その後乗車した記憶は無く、2014年の北海道旅行の時に石北線からの特急「オホーツク」に乗車して新旭川-旭川間を乗車した。そして、2018年に宗谷ラッセル撮影のため、新旭川から北永山まで乗車した。そのため、今回初乗車となるのは北永山-稚内間となる。

札幌をほぼ満席で発車したが、旭川までの各駅で下車する乗客も多い。乗車する人もいるが、下車する人の方がずっと多い。美唄で空席ができた時に隣の人が他の席に移ったので、隣の席は空席になった。旭川では半数くらいの乗客が下車したが、乗車した人も多かった。座席は4割くらいが埋まっている感じだ。この列車は稚内行きだが、札幌-旭川間での利用が多い。平日なので、通勤やビジネス客が多いのだろう。
 高架の稚内を発車した列車は旭川四条をすぎると地上に降り、新旭川をすぎると右手に石北本線を分ける。永山で赤信号で対向列車と交換すると、市街地を離れ沿線には田園風景が広がってくる。
旭川駅 停車 / 8:58~9:00

 小さな待合室と短いホームしかない北永山からが初乗車区間となる。その先は山にはいっていき、塩狩峠の頂上付近に塩狩駅がある。三浦綾子の小説「塩狩峠」に関連した場所で、近くには記念館などがある。
 山を抜けると田園地帯に戻り、和寒、士別と停車して、宗谷本線の途中駅としては1番大きな名寄に到着する。旭川から名寄までは運転本数も多い。かつては名寄本線と深名線が分岐していたが、どちらもだいぶ前に廃止されてしまった。何人かの乗客が下車したが、乗車した人もいるようだ。

和寒駅 停車 / 9:28~29 士別駅 停車 / 9:40
名寄駅 停車 / 9:54~56

 名寄の市街地を抜けると天塩川沿いに走るようになるが、木々が邪魔になって川がよく見える場所は少ない。次の停車駅はかつて美幸線が分岐していた美深で、その次がかつて天北線が分岐していた音威子府だ。宗谷本線の中では主要駅となるが、音威子府駅のある音威子府村はJRの特急停車駅の中では最も人口の少ない自治体だそうだ。「音威子府そば」という駅そばが有名だったが、店主が亡くなったため2021年2月に閉店となってしまった(新型コロナウイルスの影響で2020年2月から休業中だった)。

美深駅 停車 / 10:15~16 音威子府駅 停車 / 10:41

 次に停車駅は天塩中川で、ここでは2人の乗客が降りたようだ。この駅の1日の平均乗降人数は2014年の数値で6人で、名寄-稚内間の特急停車駅としては最低のようだ。ここの駅舎は1953年に落成し、2014年に中川町がJR北海道から譲り受けた上で改修工事を実施し、落成当初の雰囲気を再現しているとのこと。改修工費は5070万円掛かったということで、町の力の入れようがわかる。

天塩中川駅 停車 / 11:13

 線路は天塩川沿いを走っているが、この先では川を望める区間もある。天塩中川から3つ目の雄信内は通過駅だが、古くて立派な駅舎が目にとまった。1953年改築された木造駅舎が修復を加えながら継続使用されているようで、良い意味でぼろぼろで大切に使われているのがわかる風情のある駅舎だ。2019年にJR北海道から廃止か自治体負担で維持管理するかの判断を求められたが、2020年に幌延町は当駅を「宗谷本線の歴史を伝える国鉄型木造駅舎の希少性について考究が必要なこと」を理由に「自治体維持管理を要望する駅」の1つに加え、翌2021年4月より幌延町による維持管理に移行された。

車窓 / 天塩川(糠南→雄信内) 雄信内駅 通過 / 11:31

 次の停車駅は幌延で、ここでは数人の乗客が下車したようだ。1番線にはキハ54形が停車していて、稚内発名寄行き普通4326Dだ。旭川から約200㎞走ってきたが、上り列車と交換したのは永山以来だ。このことでも運行本数が非常に少ないのがわかる。
 その次の停車駅は豊富で、ここでは10数人の乗客が下車した。サロベツ原野に一番近い駅だが、サロベツ原野自体が見えるわけではない。近くに豊富温泉もあり、一応観光地の入口の駅ということだろう。


幌延駅 停車 / 11:45~46 豊富駅 停車 / 11:59~12:00

 豊富を出発すると沿線には牧場が広がり、初めて利尻岳の姿が見える。靄っていて山頂には雲がかかっているが、利尻岳を見ると北の果てにやって来たのだと実感する。利尻岳に登ったのは19年前で、稚内を訪れるのはその時以来だ。その時は札幌から稚内への移動は車で、稚内から札幌までの帰りは夜行バスだったので、宗谷本線は利用していない。

車窓 / 利尻岳(豊富→兜沼)抜海駅 通過 / 12:23

 南稚内のひとつ手前の抜海は通過駅だが、古い駅舎の周辺で数人のマニアが写真撮影をしていた。先ほど通過した雄信内と同じように、2019年にJR北海道から廃止か自治体負担で維持管理するかの判断を求められた駅だ。
 稚内市としては廃止の方向のようだったが、地元(抜海地区)の反対が大きく、2021年4月から交渉の時間を持つために暫定的に1年間稚内市による維持管理に移行した。しかし、この1年間でも話はまとまらなかったが、今年6月に稚内市が市費での駅の維持を本年度でやめることを決定したそうだ。地区の人達等は駅の存続のためにいろいろ活動をしているようだが、こうした結論になってしまったということだ。

抜海駅 通過 / 12:23 

 抜海を通過して5分ほど走ると、宗谷本線随一の絶景ポイントが訪れる。海岸線を見下ろす高台を走行するが、あっという間なのでうっかりすると見逃してしまう。ここビューポイントは有名なので待ち構えていたが、車窓左手正面(稚内方面)に気をとられていたので、利尻岳(利尻島)と礼文島を見る時間が無かった。利尻岳は復路でしっかり見ることにした。
 山の中を降りていくと突然市街地が現れ、南稚内に到着する。ここでは数名の乗客が下車したようだ。1989年に廃止になった天北線との接続駅だったが、天北線の方が先に開通していて、当時はそちらが宗谷線だった。ただし、当時の稚内駅は南稚内駅の約1㎞北にあり、現在地の南稚内はなかった。宗谷線が延伸して新しい稚内駅が北約1.5㎞にできたときに南稚内駅に改称して、その後約1㎞南側に移転した。

車窓 / 稚内方面(抜海→南稚内) 南稚内駅 停車 / 11:59~12:00

 約4分で終点の稚内に到着。定刻の12:40着で、札幌からの所要時間は5時間10分だった。観光地の終着駅らしく、ホームは観光客などで賑わっている。いろいろ看板や標識などがあり、多くの人が写真撮影をしている。稚内での折り返し時間は21分しかないので、急いで改札を出て駅舎等の撮影をする。そして、駅のコンビニで食料を調達する。
 駅舎は「キタカラ(KITAcolor)」という名称の複合施設で、稚内駅、稚内駅前バスターミナルと道の駅わっかないを併設している。さらに、売店や飲食店、コンビニ、観光協会、地域交流センター、映画館、グループホーム、高齢者住宅が入居している。2011年に建設されたまだ新しい施設だ。

 稚内駅 / JR北海道・宗谷本線(北海道稚内市)

 13:01発旭川行き特急「サロベツ」4号は、乗車してきた特急「宗谷」の折り返しだ。ホームに戻ったときには既に乗車開始の後だったが、行きと同じく進行方向右側の窓側に座ることが出来た。

 JR北海道/宗谷本線 特急「サロベツ」4号 稚内 13:01 → 旭川 16:49

 宗谷本線 特急「サロベツ」4号 6064D 稚内発、旭川行き

 JR北海道キハ261形気動車0番台
 SE-104編成(2両)+SE-203編成(2両)(苗穂運転所)


 午後の列車だと太陽がまぶしいが、先ほど見逃した利尻岳を見るためにこちら側を選んだ。稚内からの乗客は21人だった。

 南稚内を発車して6分ほどで先ほどの絶景ポイントに到着した。今回は車内アナウンスもあり、利尻岳をはっきりと見ることができた。利尻島の右手に礼文島を探したが、確認することができなかった。靄っていて雲がかかっているが、これだけ見れれば満足だ。

車窓 / 利尻岳(南稚内→抜海)

 途中駅での乗車も多く、美深で座席の約7割が埋まり、名寄でほぼ満席となった。美深で下り普通4327Dと交換したが、その前にすれ違ったはずの「サロベツ1号」を見かけた記憶が無い。多分うとうとしていたのだろう。
 旭川には定刻に到着した。一番やっかいな宗谷本線には完乗した。「サロベツ4号」の乗客の多くは、向かいに停車している「ライラック36号」に乗り換えた。「ライラック36号」は789系6両編成で自由席が3両あるので、全ての乗客が乗り換えた後でも自由席には十分空席があった。
 JR北海道の車両運用の都合で、札幌-稚内間3往復運行の「宗谷」のうち2往復の運行を旭川で分断した運用なので、自由席利用の場合座れないリスクがある。特に下り列車の場合その後がなくて乗車する列車の自由席が1両しかないので、1本手前の列車(特急)で旭川に向かうことも考えなければならない。今回の旅行でも、新青森に宿泊して、始発の北海道新幹線、北斗、ライラックを乗り継いで、旭川から「サロベツ1号」に乗車することも考えたが、座れないリスクを考えてやめにした。時間的にぎりぎりなので、1本手前のライラックに乗車することができなかった。

 旭川駅 / JR北海道・函館本線/宗谷本線/富良野線(北海道旭川市)

 旭川駅近くのホテルにチェックインして、食事のため駅前のイオンモールまで戻る。夕食をとるのは「あさひ川 井泉」というとんかつ専門店で、イオンモールの中にある支店だ。この店は以前一度利用したことがある。注文したのは「ロースカツ定食」とビールだが、味の方は記憶の通り美味しかった。ご飯とキャベツはおかわり自由だが、ビールでおなかがふくれていたのでおかわりはしなかった。

あさひ川井泉 イオンモール旭川駅前 / とんかつ定食(中)

 旅行四日目は宗谷本線に乗車して稚内を往復した。ずるをして往復特急を利用したので、非常に快適だった。特急を利用すると非常に楽だが、乗車した印象が薄くなる。特急の車両に乗っているとあまりにも快適すぎて、何処を走っても同じ印象しか残らない。今回も、片道くらいは普通列車を利用すれば良かったかもしれない。しかし、天気にも恵まれ利尻岳を見ることができたので、大満足の一日だった。



移動の記録

(7/8)
札幌 7:30 → 稚内 12:40     特急「宗谷」 51D
稚内 13:01 → 旭川 16:49    特急「サロベツ」4号 6064D

《スマイルホテル旭川 》 泊


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