岩手県北バス / 盛宮106特急 乗車記
(宮古駅前
→盛岡駅前)

2021.9.11


乗車バス  盛宮106特急 浄土ヶ浜パークホテル発、岩手駅前行き
運行会社  岩手県北バス
乗車区間  宮古駅前 8:50 → 盛岡駅前 (東口) 10:28 (定刻 10:20)
車両  岩手県北バス 岩手 200 か 2181
 スカニア-バンホール InterCityDD TDX24 アストロメガ 2019年式
走行道路  宮古駅(県道40号・国道106号)宮古根市IC(宮古盛岡横断道)川目IC(国道106号)盛岡駅

「盛宮106特急」について
 岩手県盛岡市と宮古市を宮古盛岡横断道路経由で結ぶ、岩手県北自動車が運行するバス路線で、2階建てバス「アストロメガ」を使用していた特急便の愛称。盛岡市と宮古市を国道106号を経由して結ぶ「106急行バス」は 1978年から運行を開始した。
 2019年7月31日より二階建てバス「アストロメガ」1往復を「盛宮106特急」として運行開始した。2020年12月26日、宮古盛岡横断道路の一部(区界道路)開通に伴い、区界道路経由に変更、所要時間をした。さらに 2021年4月1日、宮古盛岡横断道路の復興支援道路区間全線開通に伴い、所要時間を約40分短縮した。
 2023年3月31日、「盛宮106特急」の運行を終了、翌日から[通常の特急便に変更した。岩手県北バスによると、運用離脱する2階建てバスについては「別の計画」に投入する予定とのこと。

 盛宮106特急 ダイヤ
浄土ヶ浜パークホテル 8:30
宮古駅前 8:50
やまびこ産直館
(乗降、休憩)
9:23
9:28
県庁市役所前 10:14
盛岡駅前 (東口) 10:20

2023.9.8 作成


 えきねっとリニューアル記念 Web限定「大人の休日パス(東日本スペシャル)」を利用して、2021年9月にこれまで訪れたことのなかった三陸海岸方面に三泊四日の旅行に出かけた。さらに、9/11 の会津若松発新津行きの「SLばんえつ物語」のグリーン席が確保できたので、新潟まで足を伸ばした。
 宮古市内に宿泊した旅行三日目に、宮古駅から「アストロメガ」で運行されている「盛宮106特急」に乗車し、盛岡駅に向かった。盛岡からは東北新幹線と磐越西線を乗り継いで会津若松まで移動して、今回の旅行の大きな目的の「SLばんえつ物語号」に乗車した。
 「盛宮106特急」バスに乗車するのも、今回の旅行の大きな目的のひとつだった。宮古-盛岡間に一日一往復が設定されている「盛宮106特急」には、二階建てバスの「アストロメガ」が使用されている。「アストロメガ」は三菱ふそうの「エアロキング」の後継車として JRバスグループを中心に導入が進められているが、地方のバス路線では珍しい。三列シートと四列シートが混在のシートレイアウトで、「ワイドビューシート」と呼ばれる二階席に是非とも乗車したいと考えていた。しかし、東京からはかなり遠いので乗車の機会は無いだろうと考えていたが、今回三陸鉄道を乗り通す計画を立てた時このバスに乗車することを組み込んだ。コロナ禍の影響でバスはがらがらだったので、最前列の独立シートを確保することが出来た。

 宮古駅前(岩手県宮古市) / 8:50 発車

 浄土ヶ浜パークホテル始発のバスは、発車 10分前に入線してきた。始発からの乗客はなく、ここからの乗客は7人だった。私を含めた3人が観光客で、残りは地元の人のようだ。「ワイドビューシート」は私1人で、他の人は皆「スタンダードシート」だった。数日前にハイウェイバスドットコムで空席をチェックすると予備席と思われる2席以外は空席だったので、他の乗客は直前に予約したものと思われる。生活路線の中距離バスなので、こうした利用が多いのだろう。

 盛宮106特急 / 浄土ヶ浜パークホテル (8:30) 発、盛岡駅前 (10:20) 行き
 
岩手県北バス 岩手 200 か 2181 / スカニア-バンホール InterCityDD TDX24 アストロメガ 2019年式

 宮古-盛岡間は昨日乗車した JR山田線で結ばれているが、線形の関係で所要時間がかかり、快速でも 2時間10分程度の所要時間だ。一方競合するバスの方は本数の多い特急で 1時間35分だ。また、運行本数の方は JR山田線が1日4往復、バスは現在の特別ダイヤで1日 12往復(休日は9往復)運行されている。料金の方はほぼ同じなので、どう考えてもバスの方が便利だ。

 宮古盛岡横断道路(宮古箱石道路・宮古根市IC)/ 国道106号線から直結

 今年の 3月28日に宮古盛岡横断道路の復興支援道路として事業化されていた区間が全通したことにより、4月1日に経路変更とダイヤ改正が行われた。そのため、「(盛宮)106特急バス」は所要時間が大幅に短縮され現在の所要時間となった。それまで特急便の所要時間は山田線の快速とほぼ同じだったが、ダイヤ改正により 40分程度の時間短縮となった。今後は山田線の立ち位置はますます厳しいものとなっていくだろう。

 宮古盛岡横断道路(宮古箱石道路/蟇目-腹帯地区/蟇目)

 復興支援道路として事業化された宮古盛岡横断道路は、国道106号線と平行して全く新しい自動車専用道路が建設されたのではない。線区の悪い区間だけに橋梁とトンネルを建設して自動車専用道路として、それ以外の区間は従来の国道106号線を挟んでつなげられている。その区間ごとに事業化されてきたので、現在の段階で復興支援道路として全通したということになっている。

 宮古盛岡横断道路(宮古箱石道路/下川井地区-腹帯地区/古田)

 このバスのルートは展望を謳うところはないのだが、二階からの眺めはアイポイントが高く気持ちがいい。「ワイドビューシート」はゆったりしていて快適だ。座席のサイズは十分ゆったりしているが、形状は JRバスのクレイドルシートには遠く及ばない。2時間程度の所要時間なので、これはたいした問題ではない。心配していた最前列の足下だが、十分広くて問題ない。この車両なら「スタンダードシート」でも十分快適だと思うが、そのほかの特急便に使われているハイデッカー車の車内のことは不明だ。

 宮古盛岡横断道路(宮古箱石道路/川井-箱石地区/川井)

 乗車時間は2時間に満たない路線だが、道の駅やまびこ館で5分間の休憩時間が設けられている。ここには途中唯一の乗降可能なバス停となっているので、時間調整を含めての休憩時間なのだろうか。個人的にはバスから降りて手足を伸ばすことが出来るので歓迎だが、先を急ぐ人にとっては不必要な休憩かもしれない。しかし、今日はダイヤが遅延していて、6分遅れでの発車となった。途中特に混雑したところが思い当たらなかったので、ダイヤ自体が結構タイトなのだろうか。

 やまびこ産直館(道の駅やまびこ館/岩手県宮古市)/ 9:29~35 (定刻 9:23~28)

 宮古盛岡横断道路は一般道と自動車専用道路を交互に走るようになっている。自動車専用道路の一区間自体はそんなに長くはないが、線形の悪いところや集落のあるところを付け替えているので時間短縮効果は大きい。各区間の開通により経路変更とダイヤ改正が行われ、「盛宮106特急」の所要時間は、2時間10分→1時間55分→1時間30分と短縮されていった。

 宮古盛岡横断道路(平津戸松草道路/平津戸)

 区界道路に入る少し手前に山田線と並んで走る区間があり、ちょうど HB-E300系「リゾートあすなろ」編成が走っているのを目にした。臨時列車の快速「さんりくトレイン宮古」宮古駅行きで、運転日が少ないのでこれを目撃できたのは幸運だ。一瞬のことだったので、どれだけ乗客が乗っているか確認できなかった。

 宮古市区界第2地割 (平津戸松草道路と区界道路の間) / 山田線を走る「さんりくトレイン宮古」

 昨年12月5日に開通した区界道路(宮古盛岡横断道路・区界-梁川間)は、国道106号線の最大の難所である区界峠を迂回するために造られた。区界峠は急カーブ、急勾配が続き、特に冬場には重大事故の危険性が高かった区間だった。
 宮古盛岡横断道路(区界道路/区界第1地割)

 区界道路に入り上っていくと間もなく、全長4,998メートルの新区界トンネルがある。宮古盛岡横断道路の最高地点はトンネル入口にあり、標高666メートルあるという。
 右手には山田線があり、こちらはまだまだ上っていくようだ。山田線とは宮古市内からずっと併走していたが、ここからはルートが大きく変わる。北上山地を越えるために鉄道のルートは北側を大きく迂回している。山田線には昨日乗車したが、区界駅から先(盛岡側)は本当に何もない区間だ。

 宮古盛岡横断道路(区界道路/新区界トンネル)

 川目インターで宮古盛岡横断道路を降りて、一般道(国道106号線、宮古街道)を盛岡に向かう。道路の流れは順調で、盛岡市街地に入っても渋滞などはなかった。

 宮古盛岡横断道路(区界道路・川目IC)/ 一般道路(国道106号線)へ

 県庁市役所前バス停で降りる乗客はなく通過した。道の駅やまびこ館までの遅れはやや拡大して、8分遅れの 10:28 に盛岡駅東口に到着した。まあ、バスに遅れはつきものなのでこの程度は普通のことだ。しかし、道路はずっとスムーズだった上、途中バス停での降車もなかったのに遅れたのはどうかと思う。

 盛岡駅前(岩手県盛岡市) / 10:28到着 (8分遅れ)

 順調な運行と思えたのに定時運行できなかったのは疑問だが、非常に快適なバス旅だった。乗務員の対応は素晴らしく、2階席からの眺めは最高だった。この区間を移動するなら、またこのバスを利用したい。「アストロメガ」は輸入車だが、三菱「エアロキング」の後継車としてさらに普及していきそうだ。
 その「アストロメガ」で運行されていた「盛宮106特急」だが、2023年3月31日をもって廃止されてしまった。その後は全席自由席の通常車両の「特急便」となってしまった。運行開始から半年で新型コロナウィルス感染拡大が始まり、最悪のタイミングでのスタートとなってしまった。しかし、このタイミングでの廃止とは、もともと(新たにも)こうした需要がなかったということなのだろうだ。二階建て車両の導入、全席指定で三タイプの座席の設定など面白い取り組みだと思っていたので非常に残念だ。




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