JR西日本/小浜線(敦賀-東舞鶴) 乗車記

2022.5.26


乗車区間  敦賀 13:13 → 東舞鶴 15:13 (930M)
 東舞鶴 15:35 → 敦賀 17:34 (937M)
 
 
乗車列車  普通 930M 敦賀発、東舞鶴行き
 普通 937M 東舞鶴発、敦賀行き
車両  JR西日本125系電車 / 15+17(2両/金沢総合車両所敦賀支所)(930M)
 JR西日本125系電車 / 17+15(2両/金沢総合車両所敦賀支所)(937M)

小浜線・路線図

小浜線について
 福井県敦賀市の敦賀駅から京都府舞鶴市の東舞鶴駅に至るJR西日本の鉄道路線(地方交通線)。路線距離は84.3㎞で、全線単線だが直流電化されている。1917年12月、敦賀-十村間が開業、その後延伸を繰り返し、1922年12月全通した。若狭湾に沿って敦賀・小浜・舞鶴の各都市を結ぶ鉄道路線。行楽・観光路線としても利用されていたが、並行する国道のバイパス建設や高速道路の開通によってマイカーに利用客が流れていて、近年は学生を中心とした地域住民の足として利用されている。都市間輸送についても大阪市内を発着する高速バスや、湖西線近江今津駅で新快速に接続する西日本JRバスの若江線に対し、利便性などの差があるため劣勢となっている。 
 かねてから地元からの要請があったが、2000年7月から電化工事に着手し、2003年3月に電化された。総事業費は約101億円で、福井県が27億5700万円、沿線の8自治体が13億7800万円、京都府と舞鶴市で1億8000万円を負担し、残りの約57億円は民間で負担した。民間負担分については、沿線に原子力発電所を持つ関西電力・日本原子力発電・北陸電力が合計54億円を福井県に寄付している。高速化のための改良がほとんど行われなかったので、時間短縮効果は限定的だった。
 2022年4月、JR西日本は、2019年度の輸送密度2000人未満の線区について、収支状況と営業係数を公表した。対象となったのは17路線30線区だった。その中に小浜線(全区間)が含まれていて、991人となっている。

2022.10.15 作成


 大人の休日倶楽部会員限定「北陸フリーきっぷ」を使って北陸旅行に出かけた。フリーきっぷ利用なので、エリア内のJR西日本のローカル線全てに乗車する計画を立てた。乗車するのは、高山本線(富山-猪谷)、七尾線、城端線、氷見線、越美北線と小浜線だ。小浜線の有効区間は小浜までだが、別料金を払って終点の東舞鶴まで乗車する。このうち小浜線と越美北線は、今年二月にJR西日本が公表した「輸送密度2000未満」30線区リストに載っている。
 旅行三日目に小浜線に乗車して、敦賀-東舞鶴間を往復した。前日は金沢に宿泊、途中で丸岡城を見学して敦賀まで移動した。「北陸フリーきっぷ」の有効区間が小浜までなので、みどりの窓口で「小浜-東舞鶴」間の乗車券を購入して早めに小浜線ホームに移動した。
 小浜線は「輸送密度2,000人以下」路線として収支公開された30線区に含まれ、今後の動向が気になる路線だ。JR西日本は廃止を前提とは言っていないが、どのような対策をとっても収支に影響するような大幅な利用者のアップは難しいとも思われるので、行き着く先はバス転換といった可能性が高い。国交省が始めた「ローカル鉄道のあり方」について検討会を見ても、鉄道事業者がバス(BRT)に転換して、責任持って運行を続けるといったところが精一杯のように思われる。

 JR西日本 / 敦賀駅(福井県敦賀市) / 13:13 発車

 小浜行き 930M は 125系電車2両編成で、乗車した1号車には10名の乗客を乗せて出発した。小浜線は「輸送密度2,000人以下」のローカル線ながら電化されているが、これは 2003年に電化されたものだ。地元の要請に基づき電化されたが、100億円以上という総事業費は、約半分を沿線自治体が負担し、残り約半分については原発所有企業が負担(寄付)したと言われている。電化をしたが路線の高速化は行われなかったので時間短縮効果は限定的のようだ。JR西日本は路線の高速化などの際地元に負担を求めることが多いが、こうした路線は簡単に廃止することは難しいのではないか。

 小浜線 普通 930M 敦賀(13:13)発、東舞鶴(15:13)行き
 
JR西日本125系電車 / 15 + 17(2両/JR西日本/金沢総合車両所敦賀支所)

 小浜線は小浜までは内陸部を走っているので若狭湾を見ることができない。美浜付近は若狭湾に近いが、遠くにちらりと見える程度だ。

 粟野駅(福井県敦賀市) / 13:23

 美浜駅(福井県三方郡美浜町) / 13:35

 三方駅(福井県三方上中郡若狭町) / 13:44

 十村駅(福井県三方上中郡若桜町) / 13:51

 大鳥羽駅(福井県三方上中郡若狭町) / 13:56
 

 若狭有田駅(福井県三方上中郡若狭町) / 13:59

 上中駅(福井県三方上中郡若狭町) / 14:03~04

 小浜では列車交換のため10分間の停車時間がある。ホームの向かい側に回送の 125系2両編成が止まっていた。日中は小浜止まりの電車は運行されていないと思うのだが、運転手が敦賀方に乗っていてヘッドライトも点灯していた。

 小浜駅(福井県小浜市) / 14:16~26

 小浜を発車すると、右手に若狭湾が見えてくる。ここから三松までは若狭湾沿いに走る。どんよりと曇っているので海が綺麗に見えないのが残念だ。途中の若狭本郷は立派な駅舎のある駅で、駅前には花博で走行した「ドリーム・エキスプレス義経号」のレプリカが展示されていた(本物は京都鉄道博物館で展示)。

 車窓 / 若狭湾(小浜→勢浜)

 加斗駅(福井県小浜市) / 14:36

 車窓 / 若狭湾(加斗→若狭本郷)

 若狭本郷駅(福井県大飯郡おおい町) / 14:43

 若狭和田駅(福井県大飯郡高浜町) / 14:47~48

 若狭高浜駅(福井県大飯郡高浜町) / 14:52~54

 三松駅(福井県大飯郡高浜町) / 14:57~58

 青郷駅(福井県大飯郡高浜町) / 15:01

 青郷-松尾寺間で京都府に入り、急に市街地が開けてくると東舞鶴に到着する。東舞鶴は1面2線の高架ホームで、線路は舞鶴線に繋がっている。ホームの向かい側には舞鶴線・綾部行きの 113系電車が停車していた。なんとも言えない緑色の塗装で、短い2両編成だ。関東地区では113系を見ることができなくなって久しいが、JR西日本管内ではまだ各地で細々と活躍しているようだ。

 JR西日本 / 東舞鶴駅(京都府舞鶴市) / 15:13 到着(折り返し)15:35 発車

 東舞鶴での折り返し時間は22分あるので、改札を出て駅前を歩いてみる。駅周辺は賑わっていて、京都府北部の中心都市の表玄関にふさわしい。元々軍事拠点として発達した都市で、現在でも海上自衛隊の基地があり、小樽に向かうフェリーターミナルもある。
 930M の折り返しとなる 937M の車内はがらがらで、1号車の乗客は5人だけだ。向かい側に綾部からの電車が到着したが、113系ではなく 223系だった。

 小浜線 普通 937M 東舞鶴(15:35)発、敦賀(17:34)行き
 
JR西日本125系電車 / 17 + 15(2両/JR西日本/金沢総合車両所敦賀支所)

 時間的なせいもあるのだろうが、車内はがらがらのままで出発した。復路は反対側に座ろうとも考えたが、行きと同じ進行方向左側の座席に座った。やはり海が見たいからだ。

 三松駅(福井県大飯郡高浜町) / 15:50

 若狭高浜駅(福井県大飯郡高浜町) / 15:54~57

 若狭和田駅(福井県大飯郡高浜町) / 16:01

 若狭本郷駅(福井県大飯郡おおい町) / 16:06

 加斗駅(福井県小浜市) / 16:13

 勢浜駅(福井県小浜市) / 16:17~18

 車窓 / 若狭湾(勢浜→小浜)

 小浜で5分間の停車があったが、列車交換は行われなかった。小浜は大阪、京都方面とそれなりに人の往来があるようだが、通常は小浜線を利用しない。湖西線に近江今津まで乗車して、小浜行きの路線バスに乗り換える。この方が早くて、運行本数も多いのだ。わざわざ敦賀まで来て小浜線に乗るのは遠回りだからだ。これでは、多少スピードアップしてもバスに太刀打ちできない。

 小浜駅(福井県小浜市) / 16:23~28

 小浜では高校生が15~20人乗車して車内は賑やかになった。しかし、通学の時間帯でこの乗客の数だと、鉄道としてはかなり厳しいと言えるだろう。

 上中駅(福井県三方上中郡若狭町) / 16:41~42

 若狭有田駅(福井県三方上中郡若狭町) / 16:46

 大鳥羽駅(福井県三方上中郡若狭町) / 16:49~50

 三方駅(福井県三方上中郡若狭町) / 17:01

 美浜駅(福井県三方郡美浜町) / 17:10~11

 車窓 / 敦賀市街方面を望む(東美浜→粟野)

 粟野駅(福井県敦賀市) / 17:23

 西敦賀駅(福井県敦賀市) / 17:28~29

 終点の敦賀には定刻に到着、小浜線の乗車を終える。この電車は敦賀で9分後に折り返すが、ホームに並んで待っている人は少なかった。

 JR西日本 / 敦賀駅(福井県敦賀市) / 17:34 到着

 小浜線は北陸本線(福井県)と舞鶴線(京都府)を結ぶ重要な路線のはずだが、2019年度の輸送密度は 991人とかなり厳しい状況だ。沿線人口が少ないので乗客の大幅な増加は難しいだろう。かといって、観光路線として生き延びるのも大変だ。わずか20年前に 100億円以上の費用を地元が負担して電化しているので、利用者が少ないので廃止したいとはJR西日本も言えないだろうが、1000人を下回る輸送密度では現状のままというわけにはいかないだろう。また、100億円以上も負担して(半分は原発関係会社からの寄付)電化する必要があったのか、今考えると疑問だ。沿線に原発がなければ実現しそうにない事業に思えてならない。
 北陸新幹線の小浜ルートが決まったようなので、小浜線が存続していても、敦賀-小浜間は並行在来線となるだろう。地元(福井県)は並行在来線であることを否定しているが、どう考えても並行在来線としてJR西日本は経営を手放すことになるだろう。小浜線の将来は厳しいようだ。





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