快速「リゾートビューふるさと」 (松本→南小谷) 乗車記

JR東日本HB-E300系気動車


JR東日本/大糸線

2021.8.6


乗車列車  快速「リゾートビューふるさと」 8230D/8361D 長野発、南小谷行き
乗車区間  松本 11:44 → 南小谷 14:04
使用路線  JR東日本/篠ノ井線、大糸線
車両  JR東日本HB-E300系気動車 / HB-E302-2+HB-E301-2 (2両/長野総合車両センター)

「リゾートビューふるさと」について
 「リゾートビューふるさと」は、JR東日本が長野-南小谷間を運行している臨時快速列車およびその使用車両の愛称。2010年10月2日、信州デスティネーションキャンペーンに合わせて運行が開始された。全車指定席で、1日1往復運行。年間を通して土曜日・休日を中心に運転するが、夏休みや年末年始などは毎日運転する。日本三大車窓として知られる篠ノ井線稲荷山-姨捨間や大糸線の一部区間では徐行運転を行う。また往路では穂高駅に 30分程度停車し、停車時間中に穂高神社を参拝することが可能で、参拝希望者のために列車の到着にあわせて同神社の巫女が出迎え、案内を行う。そのほか、車内や停車駅で季節に応じた各種イベントが開催されている。
 HB-E300系気動車は、JR東日本の観光用気動車。JR東日本が開発した次世代型ハイブリッド気動車で、2010年に長野地区「リゾートビューふるさと」で運用が開始され、秋田地区「リゾートしらかみ 青池」・青森地区「リゾートあすなろ」にも続いて導入された。2016年には「リゾートしらかみ 橅」、2019年10月からは新潟地区「海里」にも導入された。

 快速「リゾートビューふるさと」
(下り) 2021.3.13改正ダイヤ
 
発 
長野 9:46
篠ノ井 9:54 9:55
姨捨 10:10 10:26
明科 10:59 10:59
松本 11:28 1144
穂高 12:07 12:39
信濃松川 12:49 12:50
信濃大町 13:00 13:10
白馬 13:42 13:46
南小谷 14:04

2023.6.25 作成


 えちごトキめき鉄道が JR西日本から 413系B6編成とクハ455-701の4両を購入して、3両編成に組み直して観光列車として 2021年7月より運行を始めた。新型コロナウイルスが猛威をふるっている中なので、密にならないように注意して撮影に出かけた。今回は撮影を1ヶ所だけに絞り、青春18切符を利用して1泊2日の日程だ。
 初日は中央本線、大糸線に乗車して糸魚川まで行き、えちごトキめき鉄道で移動して高田駅近くに宿泊した。その時、松本→南小谷間で「リゾートビューふるさと」に乗車した。コロナ禍だったので、指定席をとるのは簡単だった。

 JR東日本 / 松本駅(長野県松本市) / 11:44 発車

 最初、大糸線は 11:20発の南小谷行きに乗車するつもりだったが、夏休み期間中は 11:44発の「リゾートビューふるさと」南小谷行きが運行されていたので、こちらに乗車することにした。南小谷到着は 45分遅くなるが、糸魚川行きの乗り換えには問題ない。この列車は全車指定席だが、えきネットで座席表をチェックするとがらがらだったので、北アルプスが見えるD席を予約した。快速なので、18きっぷで乗車することが出来るのはありがたい。
 「リゾートビューふるさと」は長野始発で、松本では16分の停車時間がある。車両は HB-E300系ハイブリッド気動車で、同じ形式の「リゾートあすなろ下北」に乗車したことがある。シートピッチが広く窓が大きいので、非常に快適な車両だ。

 快速「リゾートビューふるさと」 8230D/8361D 長野(9:46)発、南小谷(14:04)行き
 
JR東日本HB-E300系気動車 / HB-E302-2+HB-E301-2 (2両/長野総合車両センター)

 ほとんどの乗客が松本から乗車したようだが、私の乗車した2号車は 10名に満たない乗客だった。1号車も多分同じくらいの乗客だと思う。しかし、通常の夏休み期間なら車内は混雑するのだろう。
 松本市街地を抜け梓川を渡ると、田園風景の向こうに北アルプスの山々が広がっている。多少雲が出ているが素晴らしい青空で、何度見ても気持ちのいい風景だ。北アルプスのこの区間の盟主は常念岳だと思うが、アテンダントによる山々の紹介があるのは親切だ。

 車窓 / 常念岳(中萱→南豊科)

 豊科で運転停車があり(11:58~12:01)上り普通電車と交換をすると、最初の停車駅の穂高だ。ここでは 32分間の停車時間があり、平常だと穂高神社の巫女さんの案内による穂高神社への参拝が行われる。新型コロナウイルス感染症蔓延下なのでこのイベントは行われないが、アテンダントから案内図が配られて各自参拝するようになっている。(もちろん希望者だけだ)

 穂高駅(長野県安曇野市) / 12:07~39

 穂高駅から穂高神社までは数分の距離で、30分の停車時間で余裕を持って参拝することが出来る。穂高(安曇野)には何度も訪れたことがあるが、穂高神社に参拝するのは多分二度目だ。「日本アルプスの総鎮守」と呼ばれているようで、奥宮が上高地の明神池に、嶺宮が奥穂高岳山頂にある。由緒ある神社で観光地となっているが、拝殿が新しくて歴史を感じることが出来ない上、拝殿の奥にある本殿は直接見ることもできない。

  穂高神社

 穂高を出発すると次の停車駅は信濃松川だが、この駅での乗降はなかった。左手の車窓は有明岳、餓鬼岳と過ぎていき、続いて北アルプス北部の山々に変わってくる。
 どこからの眺めも素晴らしいが、高瀬川を渡る高瀬川橋りょうの上では徐行運転のサービスがある。要所要所で見える山々の説明があるのもありがたい。この橋の上からは、爺ヶ岳を正面に、北に向かって鹿島槍ヶ岳と五竜岳と眺めることができる。

 車窓 / 爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳(高瀬川橋りょう)

 信濃大町駅では 10分の停車時間があるが、改札を出るほどの時間ではなかったのでホームをぷらぷらした。大糸線の要衝となる駅で、立山黒部アルペンルートの長野側の起点になっているが、ここで降車した人もいなかったようだ。

 信濃大町駅(長野県大町市) / 13:00~10

 信濃大町市街を過ぎると、左手に大きくそびえるのは蓮華岳だ。よく見ると、南の奥の方に烏帽子岳らしき山が見える。まもなく山間部に入り、しばらく北アルプスの展望とはお別れとなる。

 車窓 / 北葛岳、蓮華岳(北大町→信濃木崎)

 沿線は山岳地帯となり、列車は仁科三湖沿いを北上していく。まず最初は木崎湖で、湖が望める無人駅の稲尾と海ノ口で一時停車が行われた。

 車窓 / 木崎湖(稲尾→海ノ口)

 中綱湖、青木湖を過ぎて佐野坂峠を越えると白馬村だ。左手には長大な八方尾根が伸びていて、その奥には白馬三山がそびえている。まもなく白馬駅で、ここでは普通の観光客らしい人達が降りていった。残ったのは登山者とこの列車に乗るのが目的のような人だけだった。白馬の停車時間は 4分なのですぐに発車した。

 白馬駅(長野県北安曇郡白馬村) / 13:42~46

 白馬周辺では左手に白馬三山がそびえているが、駅周辺は建物が多いのでその姿は見づらい。白馬-南小谷間は 大糸線の JR東日本管轄では閑散区間だ。南小谷以北の JR西日本管轄の区間はいつ廃止になってもおかしくないような利用状況だが、白馬-南小谷間についても他人事ではない。

 車窓 / 白馬三山(松川橋りょう)

 次の信濃森上で運転停車をしたが、対向列車との交換はなかった。付近は開けた気持ちのいい場所で、西側と南側には北アルプスの山々を見ることができる。

 信濃森上駅(長野県北安曇郡白馬村) / 運転停車

 信濃森上を発車すると 15分ほどで終点の南小谷に到着した。南小谷では、糸魚川行きの普通列車に乗り換える。この駅を訪れるのは 11年前に「キハ52」を撮影しに来て以来となる。
 1番線には「あずさ5号」の折り返しで「あずさ46号」となる E353系 9両編成が停車していた。「リゾートビューふるさと」は2番線に到着して、降車扱い後車内清掃がはじまった。南小谷駅は JR東日本が管轄する電化区間と、JR西日本が管轄する非電化区間との境界駅で、JR東日本が構内施設を保有し、駅業務等を担当している。

 JR東日本/JR西日本 / 南小谷駅(長野県北安曇郡小谷村) / 14:04 到着

 「リゾートビューふるさと」は穂高神社の参拝付きで、非常に快適な展望列車だった。快速列車としてこうした観光列車を運転しているのはさすが JR東日本だと思う。高額な食事付きの観光列車には関心が無いので、こうした観光列車の設定はありがたい。今回乗車しなかった「長野→松本」間では、姥捨からの眺望を楽しめるので、次回はそちらの区間にも乗車してみたい。しかし、長野から乗車するには、北陸新幹線を利用するか長野に前泊しなければならない。



大糸線について
 大糸線は、松本駅から糸魚川駅を結ぶ 105.4km の鉄道路線(地方交通線)。松本-糸魚川間が全通して大糸線となったのは 1957年で、1987年4月1日の国鉄分割民営化により、松本-南小谷間を JR東日本が、南小谷-糸魚川間を JR西日本が継承した。松本-南小谷間は電化・単線だが、南小谷-糸魚川駅間は非電化・単線で、運行本数、乗客ともに大きな差がある。
 2022年4月、JR西日本は、2019年度の輸送密度 2000人未満の線区について、収支状況と営業係数を公表した。対象となったのは17路線30線区だった。その中に全区間(南小谷-糸魚川)が含まれていて、平均通過人員は 102人となっている。
 JR東日本が 2022年7月に公表した、2019年度に輸送密度 2,000人未満だった 35路線66区間のなかに信濃大町-南小谷間が含まれている。対象区間の内訳は、信濃大町-白馬(762人)、白馬泉-南小谷(215人)となっている。

 「リゾートビューふるさと」の写真
2014/04/25 篠ノ井線・安茂里-川中島間
(8230D、9:07)


2019/01/14 大糸線・安曇沓掛-信濃常磐間
(8362D、16:25)




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