JR西日本/山陰本線(鳥取→福知山) 乗車記

2023.3.17


乗車区間  鳥取 6:16 → 浜坂 7:00 (522D)
 浜坂 7:02 → 餘部 7:16 (162D)
 餘部 8:16 → 豊岡 9:10 (164D)
 豊岡 9:12 → 福知山 10:26 (430M)
乗車列車  普通 522D 鳥取発、浜坂行き
 普通 162D 浜坂発、豊岡行き
 普通 164D 浜坂発、豊岡行き
 普通 430M 豊岡発、福知山行き
車両  国鉄キハ47形気動車0番台 / 84+14(2両/後藤総合車両所鳥取支所)(522D)
 国鉄キハ47形気動車0,1000番台/1093+10(2両/吹田総合車両所福知山支所豊岡派出所)(162D)
 国鉄キハ47形気動車0,1000番台/1012+15(2両/吹田総合車両所福知山支所豊岡派出所)(164D)
 JR西日本223系電車5500番台 / P-9編成(2両/吹田総合車両所福知山支所)(430M)

山陰本線・路線図

山陰本線(福知山-鳥取)について
 山陰本線は、京都府京都市の京都駅から中国地方の日本海沿岸(山陰地方)を経由し、山口県下関市の幡生駅に至る JR西日本の幹線。このほか、仙崎支線(仙崎線)と呼ばれる長門市-仙崎間の支線を持つ。
 在来線としての営業キロは 676.0 km(支線含む)で日本最長の路線だが、区間によって乗客の流動に大きな偏りがある。かつては山陰地方の縦貫幹線鉄道と考えられていたが、現在は山陰地方と近畿地方を結ぶ幹線交通は、新幹線と陰陽横断鉄道またはバスの組合せが主力となっている。そのため、現在の山陰本線は、多くの地方都市を中心としたローカル鉄道が連続した形態の鉄道とみなされるようになった。
 2022年4月にJR西日本が公表した「輸送密度2000人未満」30線区リストによると、城崎温泉-浜坂、浜崎-鳥取間は輸送密度が 1000人未満となっている。この区間は、特急「はまかぜ」が2往復(内1往復は香住まで)運転されているだけで、幹線に分類されている山陰本線の中ではローカル色が強い区間だ。
 福知山-城崎温泉間は、福知山線の延長的存在として京都-園部間よりも早く電化されて、大阪・京都方面からの特急が多く運行されている。電化区間は城崎温泉までだが、普通列車のほとんどが豊岡発着となっている。
営業距離   福知山-城崎温泉 69.5㎞
  城崎温泉-浜坂  39.9㎞
  浜坂-鳥取    32.4㎞
電化・非電化  福知山-城崎温泉 直流電化
 城崎温泉-鳥取  非電化
2019年度輸送密度   福知山-城崎温泉 3,268人
  城崎温泉-浜坂  693人
  浜坂-鳥取    921人
単線・複線 全区間単線

2023.5.26 作成


 2022年2月にJR西日本が公表した「輸送密度2000未満」30線区リストに載っている、近畿地方(一部はみ出る)の路線に乗車する二泊三日の旅に出かけた。関西本線(亀山-加茂)、因美線(東津山-智頭)の2線をターゲットにして、往路は JAL のマイルを使って高松まで飛行機を利用した。高松から先は18きっぷだけで東京まで移動した。
 鳥取市内に宿泊した旅行二日目に、鳥取から山陰本線を乗り継いで福知山まで移動した。この区間の山陰本線に乗車するのが目的で計画したのではなく、因美線と加古川線をつなげるルートとして決めた。そして、途中の餘部駅で途中下車して、余部鉄橋「空の駅」を見学した。

 JR西日本 / 鳥取駅(鳥取県鳥取市) / 6:16 発車

 浜坂行きの普通列車 522D は 6:10 に回送で入線してきた。キハ47・二両編成で、車内はがらがらだ。両車両ともにトイレ付きの基本番台だった。製造から40年以上経つ貴重な国鉄型車両だが、体質改善工事が行われているのでもうしばらくは現役で活躍すると思われる。
 山陰本線のこの区間は40年以上前に普通列車「山陰」で出雲市-京都間を乗り通したことがある。6年前に「スーパーはくと」に乗車して倉吉-鳥取間には乗車したが、京都-鳥取間は乗りつぶしとしては未乗車だ。

 山陰本線 普通 522D 鳥取(6:16)発、浜坂(7:00)行き
 
国鉄キハ47形気動車0番台 / 84+14(2両/JR西日本/後藤総合車両所鳥取支所)

 山陰本線は長大路線なので区間により輸送密度にばらつきがあるが、JR西日本が公表した「輸送密度2000未満」30線区リストに載っている区間が、5区間含まれている。対象区間の内訳は、城崎温泉-浜坂(693人)、浜坂-鳥取(921人)、出雲市-益田(1,177人)、益田-長門市(271人)、長門市-小串・仙崎(351人)となっている。最初に乗車する、鳥取-浜坂間の輸送密度は 921人となっていて、数字的には厳しいものだ。
 内陸部を走っていた山陰本線はだんだん海に近づき、岩美駅を過ぎると海が車窓に見えてくる。次の東浜駅周辺には海水浴場もあり、海の眺めが楽しめる区間だ。

 車窓 / 羽尾海水浴場(岩美→東浜)

 東浜駅は鳥取県最後の駅で、その先に兵庫県との県境がある。小さな無人駅だが、場違いとも思える洒落たデザインの小さな駅舎があり駅前広場もきれいに整備されている。気になって調べてみると、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の立ち寄り観光駅になったからのようだ。「世界ジオパーク認定の浦富海岸の眺望と地引網の実演」が目的となっていて、それに伴い駅舎の改築と駅前広場やトイレの整備が行われたそうだ。

 東浜駅(鳥取県岩美郡岩美町) / 6:42

 浜坂駅では2分の乗り換え時間で、豊岡行き普通列車 162D に乗り換える。乗り換え時間が短いが、同一ホームでの乗り換えだったので問題ない。この駅は運転系統上の境界駅となっていて、多くの普通列車が折り返し運転を行っている。

 JR西日本 / 浜坂駅(兵庫県美方郡新温泉町) / 7:00 到着(乗り換え)7:02 発車

 車両は同じくキハ47・二両編成だが、こちらは一般的な 0番台と 1000番台の組み合わせだ。車内は相変わらずがらがらだが、先ほどの 522D よりは乗客が多い。

 山陰本線 普通 162D 浜坂(7:02)発、豊岡(8:09)行き
 
国鉄キハ47形気動車0,1000番台 / 1093+10(2両/JR西日本/吹田総合車両所福知山支所豊岡派出所)

 浜坂駅から二つ目が餘部駅で、ここで途中下車して余部橋梁(余部鉄橋「空の駅」)を見学する。観光スポットになっているとはいえまだ早い時間なので、下車したのは私1人だけだった。餘部駅には駅舎が無く、待合室とトイレだけしかない無人駅だ。ホームは1面で交換設備もない。地名は余部だが、駅名は餘部駅だ。この理由は、餘部駅より先に開業した姫新線の余部駅(よべえき)との重複を避けたためだそうだ。餘部駅は余部橋梁の末端部にあり、地上から約40mほどの高い場所にある。この高台の駅からは余部の集落と海を見下ろすことができ、これだけ見るとまさに秘境駅だ。
 餘部駅の東側には 1912年に開通した「余部鉄橋」の通称でも知られていた鋼製トレッスル橋が掛けられていた。そして、2代目となる現橋梁はエクストラドーズドPC橋で、2010年8月12日に供用が始まった。その時、餘部駅の構造が変わり、線路はホームの反対側に移され休憩室が新しくなった。
 2013年に余部周辺の観光資源の整備の一環として、余部鉄橋「空の駅」がオープンした。旧余部橋梁の西側の橋脚部分の一部を活用し建設された鉄橋展望台で、先端からは往時の線路や枕木を残した軌道を眺めることができる。さらに 2017年にはガラス張りのエレベーター(余部クリスタルタワー)が完成して、今では休日には人の絶えない観光スポットになったということだ。

 JR西日本 / 餘部駅(兵庫県美方郡香美町) / 7:16 到着(乗り換え)8:16 発車

 ゆっくりと余部鉄橋「空の駅」を楽しんでいると、1時間というのはあっという間だ。豊岡行き 164D の時刻が近づいてきて、地元の人が数名エレベーターで上がってきた。車両はこれまた同じくキハ47・二両編成で、0番台と 1000番台の組み合わせだ。こちらの車内も空いている。
 

 山陰本線 普通 164D 浜坂(8:02)発、豊岡(9:10)行き
 
国鉄キハ47形気動車0,1000番台 / 1012+15(2両/JR西日本/吹田総合車両所福知山支所豊岡派出所)

 餘部駅を発車するとすぐに新しい余部橋梁を渡る。進行方向左側に座ったため日本海と余部集落を見ることができるが、透明アクリル製防風壁が少し目障りだ。しかし、1986年に起こった余部鉄橋列車転落事故のことを忘れてはいけない。

 車窓 / 日本海(余部橋梁上)

 次の鎧駅は小さな無人駅で、高台にあるので眼下に鎧漁港と日本海を見下ろすことが出来る。静かな漁村で、駅の雰囲気も良さそうだ。
 その昔、余部橋梁が完成してから餘部駅が出来るまで、余部集落住民は山陰本線を利用するために、列車の合間を縫って徒歩で余部橋梁を渡り、トンネルをくぐってこの駅まで来なければならなかったそうだ。今では信じられない話だ。

 鎧駅(兵庫県美方郡香美町) / 8:19~20

 鎧駅と香住駅の間に絶景ポイントがある。香住海岸のオッパセ浜の所で、国指定天然記念物「鎧の袖」や兄弟赤島を見ることができる。道路は山の中を走っているので、鉄道ならでの絶景ポイントだ。しかし、あっという間に通り過ぎてしまうので、注意していなければならない。

 車窓 / 香住海岸 と 兄弟赤島(鎧→香住)

 その次の香住駅は香住町の玄関口で松葉ガニの水揚げで有名だが、現在は無人駅となっている。駅の 1.5㎞くらい南に大乗寺(応挙寺)というお寺があり、静岡に住む友人が2週間くらい前に訪れた。普段は収蔵庫で保管されている円山応挙描いたふすま絵45点が、期間限定(3月15日まで)で元の客殿に戻されて特別公開されていたからだ。個人的には関心が無いのでそのありがたさがわからないが、わざわざ静岡からこれを目的に出かける価値があるようだ。

 香住駅(兵庫県美方郡香美町) / 8:26~28

 山陰本線は竹野駅の手前で進路を南に変え、日本海を離れて内陸部に入っていく。この気動車は豊岡行きだが、この次の城崎温泉駅から先は直流電化されている。JR西日本によると、福知山-城崎温泉間の平均通過人員は、30線区リストに載っていないが 3,268人となっている。
 豊岡駅では2分の乗り換え時間で、福知山行き普通電車 430M に乗り換える。ここでの乗り換え時間も短いが、同一ホームでの乗り換えだったので問題ない。浜坂駅でもそうだったが、2分という乗り換え時間は短すぎるのではないか。対面降り換えなので問題ないといえばそれまでだが、前の列車が少しでも遅延すると、すぐに乗り換え列車に影響が出てしまう。

 JR西日本 / 豊岡駅(兵庫県豊岡市) / 9:10 到着(乗り換え)9:12 発車

 直流電化区間となるので、車両は 223系電車・二両編成だ。164D からの乗り換え客も少なく、転換クロスシートの車内はがらがらだ。キハ47形気動車から 223系電車に乗り換えると、いっきに都会に戻ってきた感じがしてしまう。

 山陰本線 普通 430M 豊岡(9:12)発、福知山(10:26)行き
 
JR西日本223系電車5500番台 / P-9(2両/JR西日本/吹田総合車両所福知山支所)

 この区間は閑散とした山里を走る。山里とはいえ沿線にはそれなりに住宅が多い。播但線と接続する和田山駅から先は、以前 国鉄色 381系「きのさき」等を撮影に来たことがある。その時は伊丹空港からレンタカー利用だったので鉄道は利用していない。
 下夜久野駅で3分間の停車時間があり、下り「こうのとり1号」と列車交換が行われる。「こうのとり1号」は停車しないので、スピードを落として通過していった。車両は 289系電車で、「しらさぎ」で運用していた 683系2000番台を直流化して改番されたうえ投入されたものだ。カニのシーズンのためか、増結されていて7両編成だった。かつて撮影してきた 183系や 381系が懐かしい。

 下夜久野駅(京都府福知山市) / 10:05~08

 左手から京都丹後鉄道宮福線が合流して、並行して走るようになる。京都丹後鉄道には荒河かしの木台駅、福知山市民病院口駅とあるが、山陰本線には駅は無い。福知山の市街地を高架で走って行くと、間もなく終点の福知山駅に到着した。

 JR西日本 / 加古川駅(兵庫県加古川市) / 16:31 到着

 山陰本線を「鳥取-浜坂」、「浜坂-餘部」、「餘部-豊岡」、「豊岡-福知山」と乗り継いだが、鳥取-城崎温泉間については乗客は少ないというのが実感だった。公表された通過人員の通りだといっていいだろう。しかし、この区間には山陰海岸ユネスコ世界ジオパークが広がり、貴重な自然遺産がある。実際、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の山陰コースはこの区間を走行している。また、余部橋梁も一度は訪れたいところだ。今後はこの区間の将来について話し合いが始まるのだろうが、どのような方向に向かうのだろうか。





トップへ
戻る




inserted by FC2 system