JR北海道/釧網本線(網走→東釧路) 乗車記

2016.11.26

乗車区間  網走 6:41 → 東釧路 9:59 (→ 釧路 10:03)
乗車列車  普通 4725D 網走発、釧路行き
車両  国鉄キハ54形気動車500番台 / 507号機 (釧路運輸車両所)

釧網本線・路線図

釧網本線について
 太平洋沿岸の釧路とオホーツク海沿岸の網走を結ぶ目的で建設された路線。網走側は、網走本線の延長として1924年から1929年にかけて札鶴(のちの札弦)まで開業し、釧路側は、釧網線として1927年から1930年にかけて川湯(のちの川湯温泉)まで開業した。1931年9月20日に川湯-札鶴間が開業し、全通。釧網線に網走本線の網走以東を編入し、現在の姿となった。
 2016年11月18日、JR北海道は厳しい経営状況を理由に「自社単独で維持することが困難な路線」として、10路線13区間を発表した。釧網本線は「自社単独では老朽土木構造物の更新を含め『安全な鉄道サービス』を持続的に維持するための費用を確保できない線区」とされた。維持する場合、運営赤字のほか、今後20年間の土木構造物の大規模修繕・更新に33億円(概算)、車両(8両、観光用車両含まず)の更新に16億円(概算)がかかるとされている。この指定を受けた線区については各種施策による経費節減や値上げなどの負担、利用促進、上下分離方式などをポイントに、地域と協議の上で輸送サービスを鉄道として維持するか検討を進めていくとしている。

2019.12.22 作成


 2016年11月に「大人の休日倶楽部パス」を使って北海道旅行に出かけた。旅行の目的は、3月に開通した北海道新幹線に乗車すること、8月の台風の影響で不通になった根室本線の代行バス(帯広-トマム間)に乗車すること、12月4日をもって運行を終了する、留萌本線の留萌-増毛間にも乗車することだ。乗車したい区間が多いため、今回は乗車するだけで、撮影する機会はほとんど計画しなかった。
 網走に宿泊した北海道旅行三日目に、釧網本線に終点の釧路(釧網本線の終点は東釧路)まで乗車した。釧網本線に乗車するのは2014年7月以来だ。その時は今回とは逆で、釧路から網走まで乗車した。今回の列車は網走発が 6:41発と早いので、この時期外はまだくらい。小雪が少し舞っているが、天気は良さそうだ。土曜日のせいか駅に人の気配は無かったが、待合室には3名の乗客が列車を待っていた。

 JR北海道/網走駅 (釧網本線/網走市) / 6:41 発車

 6:25 を過ぎて改札のアナウンスがある。先に発車する西留辺蘂行きはキハ54 とキハ40 の二両編成で、がらがらで定刻に出発した。
 乗車する 4725D はキハ54-507 の単機で、車内は0系新幹線発生品の転換式クロスシートの座席だった。各駅停車で乗車時間が長いので、こうした置き換えられたシートはありがたい。網走からの乗客は8名で、土曜日のせいかほとんど観光客のようだった。昨夜は真っ暗で気がつかなかったが、網走周辺もかなりの積雪がある。

 釧網本線 普通 4725D 網走(6:41)発、釧路(10:03)行き
 
国鉄キハ54形気動車500番台 / 507号機 (釧路運輸車両所)

 ようやく日が明けた頃列車は出発、間もなく左手のオホーツク海上に太陽が顔を出した。水平線の方には雲が多いが、上空は晴れ渡っている。海沿いは風のせいか積雪量は少ないが、このあたりは厳冬期でもそんなに積雪は無いのだろう。北浜までは乗降客は無く、浜小清水で乗車した地元の若者も知床斜里で下車した。

 車窓 / 桂台-鱒浦間

 車窓 / 止別-知床斜里間

 知床斜里駅で上り列車交換のため4分間停車した。うっかりしていて上り列車の撮影を忘れてしまったが、交換した 4724D はキハ40 二両編成だった。釧網本線の運用では珍しいキハ40 だったので惜しいことをした。
 知床斜里では二名乗車、列車は進路を南に変えて山の方に入っていき、積雪量が多くなってくる。雲も多くなってきて、左手に見えるはずの斜里岳は裾の方の一部しか見えない。

 車窓 / 南斜里-清里町間

 緑駅での停車時間は6分で、上り列車との交換がある旨車内アナウンスがある。今回は上り列車を撮影しようと車外に出る。網走から乗車した乗客のほとんどは釧網本線乗車が目的のようで、同じように周りの景色や上り列車を撮影している。このあたりの積雪が一番多く、雪国の雰囲気が良く出ている。

 緑駅 / 7:56~8:02

 川湯温泉で四人、摩周で二人の乗車がある。摩周あたりから雪が少なくなり、国道上は乾燥している。磯分内で二人の降車があったが、一名は網走からの乗客だった。網走から乗車した乗客の中で、この人だけが一般の乗客で他は鉄道マニアのようだ。標茶では多くの乗客が乗車した。ここからが釧路からの生活圏なのだろう。
 塘路駅では上り列車との交換のため4分間の停車だ。このあたりでは日陰以外積雪が無く、普通の晩秋の景色だ。交換したのはキハ54 の快速「しれとこ」で、ヘッドマークがかっこいい。ここでは一人乗車した。

 塘路駅 / 9:28~9:32

 釧路平野は雲一つ無い青空が広がり、釧路湿原の向こうには阿寒の山々がきれいに見えている。細岡で一人、釧路湿原で二人、遠矢で三人の乗車があった。東釧路駅では五人下車し、三人乗車があった。

 JR北海道/釧路駅 (根室本線/釧路市) / 10:03 到着

 全線乗り通すのは二度目となったが、前回は夏だったので、真冬のような景色の今回は新鮮だった。自然の宝庫ともいえる沿線だが、そのアクセスとしては釧網本線は厳しいようだ。効率的な移動を考えると、自動車での移動が主体となっているのだろう。観光資源を利用した利用客の増加に取り組もうとしているが、現実的には厳しいだろう。
 2016年11月18日、JR北海道は厳しい経営状況を理由に「自社単独で維持することが困難な路線」として、10路線13区間を発表した。釧網本線は「自社単独では老朽土木構造物の更新を含め『安全な鉄道サービス』を持続的に維持するための費用を確保できない線区」とされた。
 この指定を受けた線区については各種施策による経費節減や値上げなどの負担、利用促進、上下分離方式などをポイントに、地域と協議の上で輸送サービスを鉄道として維持するか検討を進めていくとしている。北海道による総合交通政策検討会議が2018年2月10日に発表した「北海道の将来を見据えた鉄道網(維持困難線区)のあり方について」では、「交通政策を推進する上での基本的な考え方」として、本区間は「観光客の利用だけで鉄道を維持していくことは難しいことから、関係機関が一体となって、観光路線としての特性をさらに発揮するよう取組を行うとともに、地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら、路線の維持に最大限努めていくことが必要と考える」としている。





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